第37話 ようこそ、夢の国へ!

「ヘンな所へ連れて行ったら、承知しないからな!」

 声音を使って、ダン!とケイタが足を踏み鳴らす。

ピョンとカフは飛び上がり、

「ちょっと!乱暴は、止めてくださいよ」

あわてて、ケイタに向かって叫ぶ。

ギッとケイタがにらみつけると、

「そりゃあ、もちろん、保障しますよ」

卑屈なほどに、ペコペコしながらそう言うと、

「ほら、もう見えてきた!」

パッと大きく、手を広げた。


「えっ、なに?」

「もう、着いたの?」

 実を言うと、彼らはカフに文句を言うのに夢中で、

ろくに周りの景色には、気を配っていなかったのだ。

「なぁに、あれ!」

カガリがすぃっと、頭上を指差す。

 待ってましたとんばかりに、カフがパン手を叩くと

「よくぞ、気が付いてくれました!」

褒めちぎらんばかりに、大げさに拍手をする。

「なんだよ、それ」

 何だか、気に入らないなぁ~

ケイタはまだ、ぶつぶつと口の中で言っている。

「夢の国、ファンタジーランドにようこそ!」

カフはパッと大きく、手を広げる。

パンパンパン!

どこかで、クラッカーが鳴るような音がする。

「え~っ、なんだよ。これ!」

「遊園地か?」

「テーマパークだろ?」

てんでばらばらに、五人が騒ぎたてる。

「いつの間に?」

アキは上を見上げて、ポツンとつぶやく。

カフはピョンピョンと跳ねるようにして、前に進むと…

いつの間にか、運動会の入場門のようなアーチが、

目の前にドーンとそびえていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る