第32話 いわくありげなお化け屋敷

「わかった」

 あっさりと、アキがうなづくと、仲間たちを振り返る。

「みんな、いいよね?」

最終確認だ。

「オジサンは、どうするんだよ」

ふいにケイタが、オジサンの方を向く。

「私は、遠慮しとくよ」

 なぜか、オジサンは控え目に断った。

ノワールはそそくさと、彼らに背を向けると、再び森の方へと歩き出す。

「ちょっと、待ってよ」

アキよりも早く、ケイタがすり抜けて、飛び出して行った。


「あっ」

「おい、待ってよ」

 ケイタの後を追うようにして、大きな窓をまたいで外に出る。

暗かった屋敷の中だったが…

外に出た途端、強烈な陽射しが、彼らの目を焼く。

「うわぁ、なんだよ、これ!」

「まだ、昼間だったのかぁ」

その落差に、しばし顔をしかめて、ユウジは手でひさしを作る。

「アキちゃん、こっち」

「ありがと」

カガリと並んで、外に出る。

その瞬間、

バタン!

いきなり、風が吹いていないのに、窓が閉ざされた。

「えっ」

なんだ、これ~

まるで、もう用が済んだとばかりに、吐き出されたみたいだ。


「オジサン…残してきても、大丈夫なのかなぁ」

 心配そうに、アキがつぶやく。

隣を歩いていたショータが、

「大丈夫だろ」

ポツンとそう言う。

「でも…あの家、何か怖いよ」

カガリがブツブツと、肌を粟立てて、かすかに震えている。

「まぁなぁ、お化け屋敷だしなぁ」

ユウジが淡々とそう言うと、

「何てったって、カブが動くしなぁ」

「ガイコツもだよ」

「カボチャも」

「ネコもしゃべった!」

いきなり、前を歩いていたケイタが、クルリと振り返ると、ユウジに

向かって叫んだ。

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