第30話 謎のお化け屋敷

「相手を、なめてかかってはいけない。あれは…」

 オジサンが、何かを言いかけた、その時!

「あのぉ~お取り込み中、すみませんねぇ~

 そろそろ、結論を決めてもらえませんかねぇ」

なぜか下出に話す、ノワールの甲高い声が響いてきた。

「行くよ!行くに決まっているだろ」

アキよりも早く、ケイタが大声で答える。

「えっ」

ケイタの声に、アキは思わず、抗議するように見る。

(ちょっとぉ~何で勝手に、返事をするのかなぁ)

アキがブスッとするけれど、ケイタはまったく懲りない様子で、

「案内してくれるんだろ」

ノワールに向かって、ニコニコしながら言う。

「じゃあ、いいんですね?」

やけにしつこく、ノワールはアキの方を向く。

アキはケイタの顔に、あきらめの表情を浮かべると、

「お願いします」

ネコに向かって、ペコリと頭を下げた。


 オジサンは、どうするんだろう?

一瞬、そう思うけれど…

誰も、そのことには気が付いてはいないようだ。

ノワールの後を、ぞろぞろと歩き始めた。

「この屋敷…確か、壊れたはずなんだけど?」

ユウジがノワールを、試すように、口に出して聞いてみる。

ノワールは、ピンとシッポを縦て、前を向いたまま、

「直ったんですよ」

まるで、そんなことは大したことない、とまったく気にかけていない

調子で、サラッと受け流す。

「直ったって…」

あんなに、激しくぶち壊したのに…

そんなことがあるのか?

何だか納得出来ずに、頭をかしげる。

「あの家も、生きていますからねぇ」

ノワールは、さらに重ねてそう言った。

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