第28話 どうする?どうする?

 するとケイタが、ニヤリと笑う。

「そうなんだ!

 アキに、招待状が来ちゃって~」

本人よりも先に、勝手に打ち明ける。

「ケイタ…おい!」

「ペラペラしゃべるなよぉ」

ユウジとショータが、後ろから羽交い絞めにする。

「ちょっとぉ~何をするんだよぉ」

気でも狂ったのか?

バタバタと、手足を動かして、ケイタが二人から逃れようとする。

「ホント、男って、メンドーよね」

大人びた口調で、カガリがアキに向かってささやく。

「オジサンも…招待状が来た、と言っていましたよね?」

目を光らせて、アキがオジサンに聞いてみる。

 果たして、しゃべってくれるだろうか?

ひそかにアキは、そう思っていたけれど…

「あぁ、そうだよ」

案外すんなりと、オジサンは認める。

「じゃあ…そこには、何か書いてあったんですか?」

アキは、オジサンのことを…疑っているのだろうか?

するとオジサンは、

「なるほど」とうなづくと、

「ここに来るように、と書いてあった」

アキに向かって、打ち明けた。


「ここに?」

「そう」

「だけど…殴られた、と言っていましたよね?」

 アキに割り込むようにして、ユウジがオジサンに向かって、話しかける。

「そうだよ」

「それは…誰でしたか?」

ユウジのその一言に、一斉に五人の視線がオジサンに集まる。

(そうか?

 オジサンを襲った犯人が、招待状を書いた人なのか?)

だが、暗に反して、オジサンは「さぁ?」と頭を振る。

「いきなりだったし、後ろからだったので、見ていないよ」

期待外れで、悪かったなぁ~と、ユウジに向かって、頭を下げる。


「なんだよぉ!」

 いきなり、ケイタが吠える。

「じゃあ、ボクたちも…はめられたのか?」

ノワールを捕まえようと、再びケイタは身がまえる。

ノワールは、それを察知して、ひょいっと窓枠に飛び移ると、

「行きますか?」

彼らに向かって、高らかに、そう言った。

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