第27話 行く?行かない?

「うん、そうだねぇ」

 そう言う割りには、アキはボーッとして、上の空だ。

「ねぇ、アキちゃん、どうしたの?」

やっぱり…お化けはイヤよね?

カガリが、アキを突っつくけれど、アキはさっきから、

考え込んでいる。

 自分に招待状を出したのは…本当に、カフなのか?

それとも、他に誰かいるのか?

(それに、このオジサン…

 なんで、こんな所に寝ていたの?)

おかしなことばかりだ。

 アキには、何が何だかわからない。

そんなアキに気づいたのか…

ユウジは、ポンとアキの肩を叩く。


「行ってみれば、いいんじゃない?」

 付き合うよ、と顔をのぞき込む。

「でも…また危ない目に、合うかもしれないよ?」

この前は…ユウコさんたちがいたから、よかったけれど…

今回は、自分たちだけだ。

アキは急に、不安になってくる。

「やめても、いいんだよ」

ノワールが、アキの前に立つと、緑色の目を光らせている。

「大丈夫、行こうよ!」

なぜかショータが、アキに向かって声をかける。

「ボクたちが、ついているからさぁ」

「それが、かえって、不安なんじゃないの?」

ケラケラとケイタが笑う。

 すると、さっきまで黙っていたオジサンが、のそっとアキに近づくと、

「キミたち、どこか行くのか?」

声をかけてくる。

「いや、あの…」

アキはまだ、このオジサンのことを、信じていいのかどうか、わからなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る