第23話 しゃべる猫

「えっ、ねこ?」

「ねっ、ネコがしゃべった!」

「可愛い~」

 早速ケイタが、その猫を捕まえようと、手を広げて

「ネコちゃーん、怖くないよぉ~」

猫なで声で、じわじわと近づいて行く。

「おい、ケイタ!」

「おまえ、よせ!」

ユウジやショータが、ケイタを止めようとする。

けれども、パッとケイタが飛び掛かろうとした…

その時!

スルリとネコが、ケイタの脇をすり抜ける。


「あっ、逃げた!」

 ムキになって、ケイタがさらに、手を伸ばそうとする。

「ちょっと!やめなさいよ!」

リンとした、アキの声が響いた。

驚いたケイタは、思わず直立不動になる。

「ありがとう、アキちゃん」

涼やかな声で、ネコがアキに話しかける。

そうして悠然と、ケイタの前を通り過ぎる。

アキはにらみをきかせて、ケイタのことを見張っている。

「ホント、あなたたち、遅かったわねぇ。

 もう、待ちくたびれちゃったよ」

そのネコが、五人に向かって話しかけた。


「えっ、なんで?」

 五人は思わず、ネコに釘付けになる。

「あなたたちってば、中々気が付かないんだからぁ」

すねたような声で、ネコはこちらを見た。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る