第19話 あれは、だれ?

「でも…あのカブ頭は、やっつけたはずでしょ?」

 四人は雁首を揃えて、アキの方を見る。

「えっ」

いきなりそんなことを、自分に聞かれても…

分かるわけがないじゃない!

アキはムッとした顔になる。

「だけど…あのシルエットは、カフじゃなかった、と思うけどなぁ」

頭をひねって、アキはどうにか、あの夜のことを思い出そうとする。

「確か…とっても、小さかった、ような?」

ポツンとそう言うと、

「やっぱり、カフじゃないかぁ」

ケイタが、アキに向かって叫ぶ。

「ううん、違うの」

何かが違った…

そう思うけれども、その違和感が一体何なのか…

あの時の影の主の姿を、思い浮かべようとする。

そうして「あっ」と声をもらすと

「頭の形が、違うんだ…」

違和感の正体に、ようやく気が付く。


「頭の形?」

「何だよ、それ」

 アキの発言に、けげんな顔をするショータたちに、

「カフのよりも、小さい頭だった」

うまく言うことが出来ないけれど。

でも、カフはそこまでは、小さくない…ということだけは、わかる。

「じゃあ、何なんだよぉ」

ケイタは、ややイラっとした口調で、アキに聞く。

「それがわかったら、苦労はしないわよ」

思わずムッとした顔をして、アキは言い返す。


「もしかして、おまえたちも…呼ばれたのか?」

 先ほどまで、ボーッとしていたオジサンが、いきなりアキに向かって、

真面目な顔をして聞いて来る。

「えっ?」

も、ということは、オジサンも?

アキは思わず、オジサンの肩に手を触れた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る