第10話 まさか、ユメ?

「え~」

「うそだぁ~」

 先程から、子供たちの声が響いている。

あれほど、破壊し尽くしたはずなのに…

この屋敷の中は、まるで何事もなかったかのように、静寂だけが

広がっている。

「ねぇ~家を間違えたんじゃないの?」

さすがのアキも、不安になってきたのか、側にいたショータに

聞いている。

「そんなはずはない。

 アキも見ただろ?」

そう言われたら、そうなのだ。

確かに…中に入る前から、違和感を感じていた。


一番はカボチャ畑だ。

まぁ、それは…現場検証の後に、更地にした…と言われれば、

納得出来るのだが。

だけど?

「まさか…夢?」

あり得ない、と直感する。

 もちろんケイタたちも、おかしいとは思っていた。

だけどここは、男として…リーダーシップを見せねば、と頑張っている。

「ここ…前よりも、キレイになってない?」

いきなりカガリが、アキに言う。

「えっ?そう?」

そういえば…焼け焦げた柱だけの廃墟を、どこかで覚悟していた。

だから無意識で、身がまえていた部分がある。

 だけどあまりにも、変わっていないので…そこまでは、気が回らなかったのだ。

「確かに…そうかも」

よく気が付くんだなぁと、カガリのことを感心していた。


 玄関から入った所には、以前はホコリが舞っていて、クモの巣も、所々に

張りめぐらされていた…と思う。

それに、誰かが入ったような、形跡があった…と思う。

「それに、旨そうなニオイもしていたぞ」

いきなりケイタの声がした。

ジュルッと音を立てて、唾を飲み込む音が聞こえた。

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