第8話 よみがえるお化け屋敷

 確かに、あの屋敷が爆発炎上するのを、この目で見た、とカガリは

そう信じている。

だから…もう自分たちに、謎の招待状が届くわけがない、と思っている。

(だけど、なんで?)

 まさか、模倣犯なのか?

だが、思ったよりも、大きなニュースにはならなかったはずだ。

その辺りも、今の状況ではわからない。

あれやこれやと言い合いながらも、みんなはやはり、気になるのだろう。

五人が歩いていると、いきなりポッカリと開けた場所に出て来た。


「あっ」

「うそ」

 いち早く、アキとケイタが声を上げる。

「まさか…本当だったんだ!」

カガリも声を震わせる。

確かにあの時、五人は見たはずなのだ。

激しく燃え盛る炎を上げて、屋敷が包まれていたことを。

あの調子だと、屋敷は崩れ落ちたはずだ。

もちろん、確実に崩壊する様を、誰もその時、目にはしていない。

なぜならば、激しい爆風で…森の方にまで飛ばされていたからだ。

だが、そうだとしても、あれだけの爆風だ。

こんな風に、無傷な状態でいられるわけがない。

口にはしないけれど、その場にいる五人はそう思っていた。


「ねえ、もしかして…そっくり同じような家が、他にもあったの?」

 思わず、カガリが口に出すと

「まさか!」

他の四人が、即座に頭を振る。

 だが…目の前にそびえるそれは、まるで何事もなかったように、

平然とそこに立っている。

ただ、この前と違ったのは…屋敷の目と鼻先にあった、見事なカボチャ畑

の所だけが、きれいに刈り取られた空き地になっていたことをのぞけば…


「アキ」

 いきなりケイタが、小突く。

「なによ」

「ねぇ、ホントにあった」

「当たり前でしょ?」

そう平気な調子で言いはするものの…

正直、アキも目の当りにするまでは、確信はなかったのだ。

ケイタはまだ、呆然と屋敷を見あげている。

「疑ってごめん」

少し離れた所に立っている、ショータも言う。

「一体、どうなっているんだ?」

ユウジまでもが、何度も目をこすって、

「ウソだろ」と繰り返しつぶやいていた。

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