第3話 みんな、集まれ!

 アキちゃん…

 アキちゃん…

うとうととまどろんでいると…ユラユラとカーテンが揺れる。

(あれ?変だなぁ~)

風がないはずだ。

ボンヤリとそう思っていると、カーテンに小さなシルエットが映り込む。

(えっ?妖精?)

何の根拠もなく、そう思う。

「だれ?」

そのシルエットの主に向かい、声を放つ。

その小人は机の上で、なにかゴソゴソとしている。

「何をしているの?」

さらに、声をかける。

その小人は、返事をすることなく、そそくさと部屋を飛び出す。


「あれ?」

 なんだろう?

 まさか、ドロボー?

そんなとんでもないことを、考えていると…

その小人はピョンと跳ねて、突き当りの窓から、身体を躍らせた。

「ちょっとぉ~なに?」

 ようやく体を起こすと、アキは窓に張り付く。

だがすでにその姿は消え、机の上に、何かが置いてあるのが、目に入った。


「で?何だよぉ」

 卒業式の興奮も冷めやらぬまま、早速アキは、メンバーを招集する。

ケイタは、食べおさめ…とばかりに、いつもの駄菓子屋に行きたくて、

ウズウズしている。

ソワソワしながら、

「で、用はなんだ?

 大したことがないなら、さっさと帰ろうぜ」

落ち着かない様子で、ウロウロしている。

「わかっているわよぉ~

 じゃあ、場所を変えて、いつものトコへ行きましょ」

問答無用とばかりに、椅子をガタガタとおさめると、卒業証書の入ったカバン

を持って、スタスタと出口へと歩き出した。


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