第33話 次への準備。

クリブルを抜かした3人の王とセミラックは、今回の事を国民に知らせる時に、クエリアースとクリーレが諸悪で、それに騙されて操られていたクレス。クレスに呪いの材料の為に攻め込まれたトーボ、そしてクエリアースとクリーレの出世の為に滅ぼされたギア。

だが謀略から生き延びたクリブルが、女神エナメノーレの力を借りてギアを復興し、トーボに支援を申し出て、クレスからクエリアースとクリーレを追い払ったので、クリブルを総大将として三国が力を合わせると発表した。


一言でまとめると「全部クリーレのせい。全部クリブルのおかげ」にしてしまっていた。


クリブルが不満を口にするが、父クリーエは「安心してくれ。基本的には城にいてもらって構わない」と言い出す。


意味の分からないクリブルが「は?」と聞き返すと、クリーエは「エナメノーレ様からは聞いている。特訓に限界はないらしく、今も成長を続けているお前の力があれば、リリアントでも千の敵を圧倒できるそうではないか。我々も陰ながら応援している。エナメノーレ様からはすでに提案があった。それに関してもトーボ王やクレスのセミワイト殿も賛成している。お前さえ良ければすぐにでも用意しよう」と言った。


いつの間にそんな話になったのだろう。

クリブルは油断したが、そろそろ部屋を出るかという直前、クリブルが眠りについている間にエナメノーレは先に部屋を出てクリーエに指示を出していた。


クリブルとエナメノーレの繋がりがさらに強くなったので、半魔半人達は強いし忠実なしもべになっている。


クレスは三国の総意として、クヨコとの国境に半魔半人兵達を配置して防衛に充てていて、半魔半人達を傷つけることはクリブルに刃向かった事と同義だと宣言をしていた。


これによりクレス人もトーボ人も「ギア王クリブル」と、クリブルを呼んで崇め出していると言う。


「そしてエナメノーレ様からのご指示」とクリーエの言っていた言葉を思い出して、確認をしたクリブルは頭を抱えた。


トーボやクレスも含めた全ての国で、年代や職業、経験量で分けた女性達を用意していて、クリブルの元に送ったという話だった。



クリブルは横で一緒に聞いているエナメノーレを見て、「エナメノーレぇぇっ!!」と怒鳴ると、エナメノーレは自慢気に「なんだ?感謝なら行動で示してくれ」と返してきた。


「半月ずっとしてただろ!新たに使用人や魔法師団、騎士団の女の子達も特訓に参加させたのに、まだ足りないのか!?」

「ああ、足りないな!」



クリブルは抜け抜けと胸を突き出して足りないと言うエナメノーレに、クラクラしてしまいながら「何が足りない!?回数!?内容!?」と聞くと、「人種、文化風習の違いだ。もしかしたらクリブルが得意な焦らし行為を、邪悪なものと思う娘もいるかもしれない。だがその娘を快楽に屈服させた時、また更にクリブルに深みが出る。それを以てすればクエリアースに備えられる」と返してくる。


「クリーレとクエリアースは何をする気なんだ?対処策は?」

「ない!準備が終わるのを待って、行動を開始してきたら真っ向勝負で叩き伏せるしかできないのだ」


「なんで?」

「クリーレが生きているからだ。これから奴らが行うのは、ギアの赤い瞳の双子でないと意味を成さない事だ。生きていると私たちの力でもどうしようもない」


「クヨコに行ってクリブルを殺すのは?」

「それも無理。クエリアースならクリーレの命を使って強制始動させるし、その方のがタチが悪い。あの時殺せなかったからこうなるのは決まってしまった」


クリブルはここで一つのことに気づいてしまう。

決戦前にエナメノーレがここまでの事を言っていればクリーレを取り逃がす事はなかった。

だがエナメノーレは言わなかった。

その結果、クエリアースが始める何かに備える必要が出た。

エナメノーレの言葉なら「備えるのはセックス特訓だ!」になる。


エナメノーレの奴はやりたかっただけなんじゃないか?


そう思ったクリブルは怖い顔でエナメノーレの腕を持つと「行くぞ」と言う。

身震いをしたエナメノーレは「おおぅ!」と喜び付いてくる。


「リリ、来て」

リリアントも連れて行くと、クリブルはエナメノーレを責め立てて焦らしに焦らす。


クリブルが「頭の中をコレだらけにして、年中発情期にしようか?」と声をかけると、エナメノーレが「え!?そんな…どうなっちゃうの?すごい!」と言って顔を蕩けさせて喜ぶと、「そうなったら特訓は焦らしに焦らすから」と言う。


身体を震わせて「えぇ!?そんな?狂っちゃう!おかしくなっちゃう!」と身悶えるエナメノーレに、「でもそのたまにが気持ちよくて死んでしまうかもね」とクリブルが言うと、見られたものではない顔で身を捩り頭を振り乱すエナメノーレ。


「リリ、好きなだけエナメノーレを焦らして楽しんで良いよ」

クリブルはソファに身を投げ出して責めをリリアントに任せると、それだけでエナメノーレは「やだ!焦らさないで!」と暴れるが、ギッチリ拘束されたエナメノーレはどうする事も出来ずに悶絶する。


リリアントは珍しく深く怒るクリブルに、「お兄様?何がそんなにお兄様を怒らせているのですか?」と質問をする。


「エナメノーレがクリーレを殺しておけって言わなかったから、更に修行が必要になったんだよ。ギアの再建も遅くなるし良い事ないんだ」


クリブルの怒りを知ったリリアントは、寒気を感じるような淫靡な笑顔で、「エナメノーレ様、心苦しいですがお兄様の言い付けは絶対ですの」と言いながら、部屋の端に置いてある羽ボウキを取ると羽の先でエナメノーレを刺激していく。


エナメノーレは焦らされるよりも強い刺激で溺れるように責められる方が好みなので、羽ボウキの焦らしには身を捩って「足りない!もっと!」と哀願してくる。


クリブルは怒りまじりに、普段ならしないカーテンを全開にしてリリアントに中夜を問わずにエナメノーレを責め立てさせる。


エナメノーレは「朝!?もう朝になる!もうやだ!クリブル!クリブル!」と泣きながらクリブルを求めるが、クリブルは頑としてエナメノーレを許さずに、わざとリリアントを休ませるとブールゥを呼んでブールゥを抱く。

ブールゥの恍惚の顔と声にエナメノーレは泣き叫んだ後で、何度も「酷い」「あんまりだ」と言う。


「エナメノーレ、なんでクリーレを殺せって指示しなかったの?なんで大変にしたの?トーボとかの女の人達を抱くように手配したの?僕はギアを復興させる必要があるんだよ?」

エナメノーレは必死になって震えながら、「ギアの為、クリブルの為だったの。嘘じゃない。キチンと言わないでごめんなさい」と言ってくる。


「詳しく話して」

「先に果てさせて!果てたい!果てたい!!」


エナメノーレは焦らしすぎたのか話にならない。クリブルは「後で話す?」と聞くと、エナメノーレは「話す!話すから!!」と必死になるので、拘束を解いてこれでもかと突き上げると、丸一日かかったがエナメノーレはようやく満足して力尽きていた。


幸せそうに眠るエナメノーレを見て、リリアントは「お兄様は怒ると怖いです」と言い、ブールゥも「クリブルって案外怖いよね」と言っていた。


起きたエナメノーレに詳しく聞いたクリブルは、エナメノーレの考えこそ否定しなかったが、相談なく決めていた事に苛立った顔をして、エナメノーレが「反省する!次はないけど次は言う!だからお仕置きは勘弁してくれ!」と懇願する。


「エナメノーレ、クリーレはどうなるの?」

「消滅必至だが、クエリアースは言わないだろう」


「僕達は剣技とか身につけなくていいの?」

「特別なものはいらない。完全勝利を目指すなら、クリブルは現地に行かずにここでひたすら私とセックス特訓をして、リリアント達の力を強めた方がいい。クエリアースの奴が次に取る手は、私の眷属化を無効化する空間の構築だ。だが意味がない。アイツの呪いが効く段階はとうに超えている」


「言っている事はわからなくないけど、僕が不在でクリーレが変な真似をしたら困るから前線に行くよ」

「まあそうなるか。前線で皆が戦っている時に、クリブルは私とセックス特訓するのはどうだ?」


エナメノーレの提案が気に食わないクリブルが「エナメノーレ?」と聞くと、真っ青になって必死に、「すまない!もう言わない!」と謝ってから、「だがギアの為にもクレス人とトーボ人の女達は抱いてくれよな」と言った。


「それは…するよ」

「それでこそだ!ブールゥ!リリアントも参加しろ!」

「わかったよエナメノーレ様」

「わかりました!」


クリブルは「わからないでよ」と思いながらも、城に来た女性をキチンと抱いた。

中にはセミラックの遠縁の女性や、トーボの姫までいてクラクラしたが、本人達も是非子供を産ませてくださいと言い出してエナメノーレが喜んで迎え入れた。


ギアの為と言われながらもウキウキとトーボの姫を責め立てて、「ほれ、素直になれ」と言って、「淫乱になれ。クリブルが喜ぶぞ」と続ける姿に、キレたクリブルが怖い顔で「エナメノーレ?」と名を呼ぶと、エナメノーレはガクガクと震えて「ゆ…許して!羽ボウキはやだ!せめて荒縄にして!」と言って謝り倒していた。


トーボの姫は5日で面影もないくらい性に寛容になってしまっていて、クリブルはキチンと謝っておいた。

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