第29話 ギアとクレスの戦争。

クリブルは肌でクリーレと決戦になると感じ取っていた。


クエリアースはリリアントに渡した死の剣を破壊できた。

同じ武器をクリーレが持つ可能性を考え、剣技にしても弱くないクリーレを見ているとそう思えていたし、証明するようにトーボに攻め込み捕虜を捕まえてきた。


もう間も無く、ニードとウォルテの間が戦場になるだろう。


エナメノーレにクエリアースの事を相談したら、「気にするな。ただ打開策を持っているに過ぎないだけだ。逆にあの程度で壊れるなんて修行不足だ」と言った後で、「セックスだ!」と言われてしまう。


クリブルはコレでもかと行為に及び、「ギアを勝たせる気が無いのか?」と言われて、嫌々アレコレをする羽目になり、手始めに器具を駆使してブールゥを仕込む事になる。

初めは強張っていたブールゥが悦びをみせるようになると、次々にエナメノーレ監修でギアの為にと、その身を差し出してくれた者達を抱き、その力でエナメノーレを抱く。


エナメノーレは「これはたまらない」と喜ぶ間に、ストンブ達は根絶やしになるくらいまで魔物を狩って来いと命じられて、ギア周辺は平和な土地になってしまっていた。


「エナメノーレ、これでクリーレに勝てるの?」

「余裕だな。クエリアースなんて二級品に遅れを取るものか。奴の悔しがる顔が今から楽しみだ。それにしてもクリブル。あの磔にした女を責め立てる腕前は見事のひと言、天賦の才能を感じたし、思い出したらまた欲しくなったぞ」


「エナメノーレ、真面目に…」

「私のセックスへの意識はいつでも真面目で真剣だ!見くびらないで貰おう!」


「あ…はい。ごめんよ」

「わかればいい。ダメ押しにセックスだ!更に段階を引き上げるぞ!」


クリブルはもっとこう、剣の特訓とかをしたかったのだが、エナメノーレからは「必要ない。それよりセックスだ!」と言われてしまう。


焦燥感から苛立ったクリブルは、磔台にエナメノーレを磔にすると、責めと焦らしを交互に行い、「エナメノーレ、なんで剣の訓練が必要ないのか説明してよ」と優しく声をかける。


それだけで身体を震わせて、「えぇ…、だって必要ない…」しか言わないエナメノーレが素直に言うまで焦らしに焦らすと、頭をブンブン振り回しながら「沢山したの!沢山したから段階も引き上がっているの!眷属にしたストンブ達が強くなっているから!あれだけの数の半魔半人達でも、1人が並の兵士10人分くらいの力があるの!それだけでも強いのに!眷属に振り分けた力を回収したら、クリブルなら万の敵でも1人で倒せるの!」と必死に説明して「言った!言ったから最後までして!もう焦らさないで!」と泣き叫ぶ。


クリブルは焦らす気は無かったのだが、今の説明に驚いて手が止まり、磔られていて自身ではどうする事もできないエナメノーレは、身体をバタつかせながら必死になって「触って!やめないで!」と懇願するが、無視するように「僕の力が皆に…皆が強く」と呟く。


「リリアントはもっと強いから!だからもうクエリアースなんかに負けないから!!お願い!」


クリブルは「僕は全ての仲間のために」と誓いを立てるように握り拳を作ると、エナメノーレに「お待たせ」と言って責め立てて、エナメノーレを満足させていた。


気絶するように果てたエナメノーレを、優しく抱きしめながらベッドで頭を撫でるクリブル。


「エナメノーレ、起きたら布陣について相談させて。僕は負けない。ギアを勝利に導くよ」と声をかけると、珍しくエナメノーレは半日近く眠り続けていた。



クリブルはウォルテを固く閉じると、ニードに集めた元犯罪者だらけの半魔半人兵を前に出して、後ろをギアから連れてきた眷属兵達と自身とエナメノーレとリリアントだけにした。

千そこそこの数でクリーレの用意した三千を超える兵の相手をするのは、普通なら自殺行為だが、エナメノーレに言わせれば「やりすぎだ。ギア兵達はニードに下げて半魔半人達と我々だけで構わない」との事だった。


「クリブル、ウォルテは見えているな?」

「侵入者はいないよ。今は全員魔物の状態で待機させてある」


「よし、作戦通りに皆が動ければ何の問題もない。まあ完勝に導くなら、ニードで絶えず私とクリブルがセックスをすれば皆が強化されるが、相手が転移札持ちだからそうも行かないな。リリアント、新たな眷属の力は練習通りに使え。負けはない」


「はい!お任せくださいエナメノーレ様!」


リリアントは新しくなった死の剣を見せながら溌剌と返事をする。

剣は少し小ぶりになっているが、リリアントは死を使いこなして手の中にしまう。


「よし、クリーレを釣る。乱戦に持ち込むよ」


クリブルは半魔半人達に「前進!」と声をかける。

その姿は王そのものだった。


「クリブル、リリアント次第だが、うまくいけば死の回収も可能だ。戦場を駆け巡り、殺せるだけ殺して、集められるだけ集めろ」

「了解だよ」


クリブルはリリアントを見て、「リリ、常に気を張っておくけど気をつけてね」と声をかけてから前に出る。


リリアントも「わかっています!お任せください!」と言って、半魔半人達と戦闘に参加して、トーボ兵とクレス兵を蹴散らしていく。



すぐに「見つけたよ兄さん!」と言ってクリーレが切り掛かってくる。


「クリーレぇぇっ!」

クリブルは剣を振るってクリーレの剣を弾くと、生え変わった右腕を見て驚く。


「気付いたかな?クエリアースに治してもらったんだ。コイツは凄いよ?」

クリーレの右ストレートを剣の腹で受け止めたクリブルは、とてつもない衝撃に吹き飛ばされる。

半魔半人達は「王!」「ご無事ですか!?」と声をかけてくる。


「ぐっ!?」

「へぇ、剣を折るつもりだったのに、折らせないなんてやるね」


「クリブル、耐えるのだぞ」

「わかってる。これもエナメノーレが言った奴だね」


クリブルは走りながら死を集め、仮に討たれた半魔半人が居れば新たに死を注入して蘇らせて戦線復帰をさせる。それと同時にトーボ兵とクレス兵にも死を吹き込んで新たな半魔半人にしていく。

一瞬、視線の端にリリアントとクエリアースの戦闘が見えたが、エナメノーレから「安心しろ、リリアントはうまく釣り上げている。これはリリアント好みの奴を三日くらいやってやらねばな」と声をかける。


クリーレは半魔半人達に足止めを喰らいながらも、必死にクリブルを追いかけてくる。


「ちっ、兄さんの作戦は、半魔半人達による俺の足止めか!?」

クリーレは半魔半人達を右腕で殴り飛ばしながらクリブルを目指していて、戦闘が加速していく。

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