第23話 死の蔓延。

死んだ男も含めて、半魔半人化が済んだ村人達はクリブルの指示に従い、死を内包した野菜を作って食べて更に体内に死を蓄積して強化されていく。


そしてクリブルは村にいる間に、エナメノーレとリリアントと特訓を行い、水源に死の他に死を用いた暗示を仕込む事に成功をした。


「エナメノーレ、特訓の甲斐はあったかな?」

「勿論だ。死に方向性を持たせて暗示を行うとは思わなかったぞ」


「いや、村人達に指示出しするのと変わらない感覚だよ。でもこれが可能なら更にクレスは荒れる事になるね」

「そうなるな。やはりリリアントが居てくれると特訓が捗るな」


クリブルは意地悪い顔をして、「じゃあリリと離れている間は特訓は無しでいいね?」と言うと、リリアントは「ふふふ」と笑い、エナメノーレは「無理だ!私の言い方が悪かった!たまにリリアントも交えて特訓をすると捗るな!日々の特訓あってこそだ!」と慌てて言い直す。


「今回の特訓はとても楽しかったです!お兄様は特訓の天才です!」

「本当だな。私には思いもよらなかった」


そう言って発情するエナメノーレとリリアントは頷きあうと、「今晩も頼む!」、「お兄様お願い」と言われる。


「そろそろ帰らないと怪しまれるから帰るよ。リリ、次はギアに帰った時にするよ」

クリブルの言葉に愕然とするエナメノーレとリリアント。


「残酷だ」

「あんまりです」


そう言いながらエナメノーレとリリアントは、ここ数日の特訓を思い出していて発情していた。


今回も初めはエナメノーレがリリアントにした事を、クリブルがエナメノーレにしていたが、慣れを感じたクリブルはリリアントを誘い、共にエナメノーレを責め立てようと提案をする。


ウォルテでの日々でも責められる事や奉仕を強要される事はあっても、自分の意思で自分から責める事はなくて、嬉しさに震えたがどうしていいか分からずにいる。


「思った通りやるといいよリリアント」と優しく言うクリブルは、悪い顔になると「エナメノーレ、良かったね。初々しいリリアントは、なにをしてくるかわからないな」とエナメノーレに声をかけると、エナメノーレはそれだけで身体を震わせて、「どうしよう?どうなってしまうんだろう?」と喜ぶ。


辿々しさからくる、もどかしい責めや逆に痛みすら覚える責めの全てが新鮮で、喜ぶエナメノーレはリリアントに事細かに指示を出して快感を受け入れる。


この特訓はリリアントから辿々しさが消えて、慣れた手つきで常に安定してエナメノーレが喜ぶようになるまで続けられた。


それが済むと今度は2人で責め合って同時に果てるように言われるが、悪い顔をしたクリブルは時折エナメノーレが油断したタイミングで責めに参加をして、エナメノーレを先に果てさせて「やり直しだ」と言ってみたりする。


クリブルが容易く同時に果てさせる気のない事はわかるが、エナメノーレもリリアントもそれを喜んで受け入れて何度も果敢に挑戦をする。


それらを経てクリブルは暗示の付与を可能とした。


暗示は簡単に付与された。

一つはクレスへの嫌悪を付与し、クレスを軽んじるようにする事、もう一つはクレス人以外は国に帰りたくなるように仕向けた。


それからのクリブルは、水源や野菜なんかの名産地の依頼を受けてきては、死を混入させた。


その結果、4ヶ月後にクレスは荒れ始める事となる。


ある朝、いつものようにクリブルがクリパーとして依頼所に顔を出して「マンハントを」と言うと、いつもの受付嬢は「今までお世話になりました」と依頼内容と共に挨拶をしてきた。


「どうした?」

「いえ、なんか元々好きじゃなかった国なのに、断る間も無く連れてこられて帰れなかったんですけど、もう限界だからこの仕事を辞めて国に帰る事にします」


ウォルテは今大小様々だが死の効果が蔓延していて、治安は悪くなるし国に帰りたくなるのもわかる。


「国はどこ?」

「トーボです。まあ父がトーボ人で母はギア人でした。父母はパレトで出会って結ばれてニードに住みたい母と、トーボのクーピという街に住みたい父は仲違いして離婚しましたから、家には父しか居ません。全滅と聞いていますから、母はクレスに殺されたと思います」


クリブルはそのうち蘇らせた中に、この娘の母もいる事を理解すると、「案外逃げて無事かも。クレスは悪人を野放しにしてるくらいだから、兵の練度が低いのかも」と言う。


「確かにそうですね。クリパーさん達が仕事してるくらいですものね。ありがとうございます。父の所に戻って少し落ち着いたらニードに行ってみます」


クリブルは「それがいい」と言って、簡単な魔物退治の仕事を貰うと帰っていく。


中々話のわかる人間だった受付嬢が辞めてしまう事に、クリブルは少しだけ寂しさを覚えていた。

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