第14話 ウォルテの悪夢。

ウォルテが近付くまでの間に、自由中立都市の成り立ちなんかをエナメノーレが気にしてクリブルが答える。


「ここは元々トーボという国の外れだったんだ。

本国からも離れていた関係で、ギアとクレスの戦争なんかにも巻き込まれてしまうし、トーボも満足な支援を寄越さないから、ここ100年くらいで自由中立都市を名乗ったんだ」

「ほう、自衛したからこそ強固な守りが実現したか。確かにクレスにここを取られると、ギアは兵站の関係で苦戦を強いられるな」


「そう。だからウォルテのトップは自由都市として、ギアともトーボともクレスとも商いをするし…中立都市としてどの戦闘にも加担しないんだ」


クリブルはそんな説明をしてしまった事を恥じて笑ってしまう。


ウォルテの直前でエナメノーレから死を使って顔を偽装するように言われたクリブルは、エナメノーレ好みの顔に偽装をすると堂々とウォルテに入る。


門番からは「旅人かい?いい日に来たな。もしかしてそれ狙いか?」といやらしい笑顔を向けられて、クリブルは何のことか分からずに「まあそんな所」と答えて誤魔化す。

もう1人の門番が「門は夜になると閉めるから、出入りには気を付けてくれ」と言われて頷くと、「ようこそウォルテへ」と言われながら中に入れた。



いい日に来た。

この言葉が引っかかるクリブルはすぐに知る事になる。


広場に異常な数の人間が集まっていて、その顔はギアの系統もいればクレス系、トーボ系も居る。

顔付きの違いがあっても顔は等しく醜く歪んでいた。


女達は「しっかり稼いで来い!」と言っていて、男達は我先にと前に行こうとしている。


クリブルを見て「あんた彼女連れで来たの?」と話しかけた男は、「まあ後ろの方だから君もお金目当てだね」と言うと、「ここら辺が良いところだと思うんだよね」と続ける。


何のことかわからないが、エナメノーレは「ふむ。私は少し離れよう。お前なら離れていても問題あるまい?」と言って離れると、「まああんな綺麗な彼女がいれば、お金目当てになるよね」と笑った男の言葉の意味を嫌でも知る事になる。


広場が騒然とすると、黒いフード付きのマントを羽織らされて来た小柄な女が、ヨロヨロと連れて来られる。マントで顔は見えないが、女だということは身体つきやフード越しに見える顔の部品でなんとなくわかる。


首元から鎖が延びていて、奴隷か罪人が死刑になるのか?クリブルはそう思いながらも前の男の言葉が引っかかっていた。


女の横にはギロチンのような機械もあるが、ギロチンにあるべき刃はない。

そしてクリブルの知っているギロチンよりも部品が多い。


女の鎖を持つ黒フードの中身は男だろう。

仮面を付けた男は、「ビリジーア様とセミラック様からの施しの日だ!男どもは喜べ!女どもは一攫千金を夢見ておけ!」と言うと鎖を強く引く。


フード付きの黒マントが肌けると、中からは裸体が出てくる。

愛らしいピンクがかったブロンドの髪色の少女には見覚えがあった。


「リリ…アント?」

驚くクリブルに、前の男は「ビリジーア様はギアの無くなったタイミングで、トーボでもなくクレスに従う道を選んでくれたから安泰だし、こうして月に一度だけギアの捕虜をタダで抱かせてもらえるんだ。ありがたいよな。でも女達は喜ばないから、あの姫さんが力尽きた次の男が金貨10枚を貰えるんだよな。体調の事もあるけど、先月は40人で倒れたから、うまくいけば俺達の頃に倒れてくれるぜ」と話しかけてくる。

クリブルは何を言われているかよくわからなかった。


リリアントはボロボロでアザだらけの肌を見せて、手で局部を隠そうとすると、鎖を持たない方の男に鞭で尻を叩かれて隠す事を我慢すると、泣きながら「ウォルテの皆さん。ギアがクレスに敗れた為に、不安な日々を送らせて申し訳ありません。どうか私でその疲れたお心を癒してください」と言うと、鞭を持った男は何かをリリアントに注射する。


注射を受けたリリアントは、すぐに身体を震わせて発情をしたのだろう。広場に女の匂いが充満すると、男達がギロチンのような機械にリリアントを括り付ける。ギロチンにはない余計な部品は腰と足に付けるもので、四つん這いにしたリリアントが逃げられないようにする為のものだった。


それから先のことは見ていられなかった。


先頭の男が容赦なく挿入すると、リリアントは命を燃やすような悲鳴や絶叫に近い嬌声を上げて果てる。

エナメノーレがクリブルの元に来ると、「一度退くぞ」と言って路地裏にクリブルを連れ込むが、クリブルの耳には男どもの「毎月お世話様だな」、「この1ヶ月で何本咥えた?ガバガバになったんじゃないのか?」、「ギアの華が見るも無惨だな」と言う言葉責めに、嬌声混じりに「言わないでください」、「許してください」、「嫌ぁぁぁっ」という、リリアントの悲鳴が聞こえていてクリブルはおかしくなりそうだった。


行為は3時間にも及んだ。

途中で動かなくなる度に薬品を足されたリリアントだったが、遂にピクリとも動かなくなり「ぅ…」「ぁ…」と言うのみで薬品に反応もしなくなる。


仮面の男が「ここまでのようだ」と言うと、最後に果てた男の次にいた男が金貨10枚を手にした。


その男は動かないリリアントを見た後で、女どもの方を見て彼女だろう女に、「これで豪華な結婚式が挙げられるよ!」と声をかけて街中で祝福をした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る