第12話 ブールゥの見たもの。
一先ず城の人間を救い、エナメノーレの許す限り城を復元させたクリブルは、「父上、ただいま戻りました」と挨拶をする。
クリーエは深く頷いて、「済まなかった。そして助かったぞクリブル」と言うと、首を横に振ったクリブルが、「いえ、まだ全ての者を助け切れておりません。そしてクレスにはその報いを受けさせます」と言うと、クリーエは「間違っていなかった。お前こそが王位継承者だ」と言って頷く。
母は泣いて謝りクリブルを抱きしめてくる。
「なんだか、初めて抱きしめて貰った気がします」
「ごめんなさい。これも全部クリーレの為とクエリアースに言われていたの」
「構いません。母上もギアを思っての事です」
「ありがとうクリブル。ごめんなさい」
コレからの話を纏めると、エナメノーレが「まずは冬支度からだな。この城の中は何も残っていない。今は私が近くにいるから皆食事も排泄も不要だが、我らが外に出れば皆飢えて冬を越えられないぞ」と言う。
「確かにそうだね」と言ったクリブルは、ストンブを見て「じゃあストンブ。兵士たちを編成するんだ。僕も出る」と言ったが、エナメノーレはクリブルの肩を掴んで、「待て!クリブルは私とセックス特訓だ!」と言った。
「…ええぇぇぇ。皆の前で言うの?冬支度は大事だよ」
「何を言う。皆が助かったのは、私との特訓があってこそだぞ?」
これには全員が「冬支度は我々が行うから、クリブルはエナメノーレ様との特訓を頑張ってくれ」と言い部屋に押し込もうとする。
真っ赤なクリブルが「まだダメだよ!」と言うと、エナメノーレは「お預けか!?焦らしか!?酷いぞ!」と声を張る。
頭に手を置いて「コレからの話は大事だよ」と言うクリブルに、「仕方ない」と言ったエナメノーレは、クリーエ達に冬本番になるまでに城を再建しろ。そして冬到来と共に、転移札で私とクリブルは一気に進軍して、姫の捜索と殺戮を行うと指示を出した。
クリブルが少し意外だったのは、父母は高貴な人間で融通がきかないと思っていたが、誤りだった事で、セックス修行に入る前のクリブルを捕まえて、「仮に何かあったら蘇らせてくれるか?」と聞いた父母は、エナメノーレから「問題ない。その為のセックス特訓だ!」と言われると、我先に槍や弓を手にして野山を駆け巡り、魔物や食べられる獣を狩り、冷たい冬の川に飛び込み魚を獲っては干し魚に変えて行く。
クリブルが目を丸くして、「ち…父上?母上?」と声をかけると、「楽しい!今までのギアはもうない!コレからはコレがギアだ!」、「はい!ずっと偉そうに振る舞って疲れました!私達は自由です!」と言うクリーエとアイボワイト。
その姿を見て満足そうに、「ほほう。これなら再建も容易いな。クリブル。セックスだ」と言うエナメノーレに、「…エナメノーレ…。確かに大事だけど、ブールゥともう少し話をしたり…」と言うクリブル。
エナメノーレは何だそんなことかと笑うと、ブールゥに「お前も来るか?」と聞く。
「エナメノーレ!?」
「何を照れる。3年間も散々ブールゥの死霊の前でしていたし、城にくるまでもしていたぞ?」
一瞬無音になるギア城。
クリブルが青い顔で「……え?嘘…だよね?」と聞くと、エナメノーレは「本当だ。てっきり前のギア王のような、見せたがりだと思っていたから、別室に追いやらなかった。ブールゥも興味津々で観ていたぞ」と言って笑う。
嘘だろうという気持ちで「ブールゥ?」と言いながら、クリブルがブールゥを見ると、真っ赤な顔で俯いていて聞くまでもなかった。
「ブールゥ、観ながら転移札を仕込むか?クリブル、ブールゥに子を仕込むか?」
「エナメノーレ!?」
「私は全然構わない。最初に言ったであろう。他を知れば深みも出る。深みが出れば更なる段階にも登れる。他の女を抱く事もギアの為だぞ」
これには聞いていたロズミィも、「ギアの為なら喜んで娘を差し出します!王子なら娘も喜びます!よろしくお願いします!」と鼻息荒く迫る。
クリブルは無言でロズミィからエナメノーレに視線をずらし、「エナメノーレ、なんかした?」と聞く。
「なんかとは?」
「皆が性に寛容すぎる気がするよ」
エナメノーレは鼻で笑うと、「そんなものだ。セックスせずに生まれて来た者は居ない。それなのに忌避するなどあってたまるか」と一蹴した。
ブールゥは心の準備ができていないと言って、参加も見学も辞退すると、エナメノーレは嬉々としてクリブルを部屋に連れ込む。
クリブルは最後まで、「ブールゥ!何を観たんだい!?君が何を観たか教えてくれ!」と言っていたが、ブールゥは「言えないよぉ」と言って、真っ赤になって俯いていた。
自棄になったクリブルは、これでもかとエナメノーレを抱いて、エナメノーレは更に絆が深まったと喜んでいた。
クレス側は戻らぬ兵士達にこれ以上の兵は割けないと言い、一先ずギアとの国境に兵を配置するのみで話を終わらせていた。
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