第6話 ギアの今。

クリブルがワイプ山に来て、だいぶ時は流れた。

エナメノーレの側にいれば、食事や排泄が不要になるお陰で、寝食を忘れて戦い、寝食を忘れてエナメノーレと肌を重ねた。


何ヶ月も肌を重ねるクリブルは、次第に性に対して貪欲になり、それがまたエナメノーレを悦ばせていた。


「エナメノーレ、僕の呪いはどうなっただろうか?」

「まだだな。根深すぎる。いつ誰が仕掛けたのかわからんが、そうまでする理由がわからん」


クリブルは「僕と契約したエナメノーレは外に行けるんだよね?ギア城に僕の無事を知らせてきてくれないかな?」と頼むとエナメノーレは快諾せずに「やだ」と言った。


「なんで?」

「何日離れ離れになる?私は身体が疼いてたまらない!魔物狩りに行っている間も焦らされているのだぞ!?」


「散々してるのに?」

「神の一生からしたら一瞬だ!足りない!」


ここでクリブルは散々本で学んだ知識を使う事にする。

「うーん。仕方ないか…。でもきっと離れて焦らしに焦らされて、帰ってきて1番にすると物凄く気持ちいいと思うけど?」


もうこの言葉だけで、エナメノーレの顔は蕩けて息が荒くなり、「物凄く気持ちいい!?それはそうかも!」と言い始める。


「だからお使い頼めるよね?」

「お前…ずるいな。絶対だぞ!絶対私が果てて動けなくなるまで突き上げると約束しろ!」


「約束するよ。ほら、僕もエナメノーレとの時間を想像したらこんなだよ」

もう裸で暮らすのが当たり前のクリブルは、自分のそそり立つものを恥ずかしげもなくエナメノーレに見せながら言うと、目を輝かせたエナメノーレはクリブルに飛びかかろうとしたが、クリブルは手を前に出して「ダメだよ」と言うと、「僕は今のうちに、二つ上の巨大人喰い鬼を倒してくるよ」と言って服を着て剣を持つ。


「ひと口!味見でいいから!ちょっとだけ!」と言うエナメノーレに、「ダメだよ」と言うとエナメノーレは服を着て飛び出して行った。

肩が出て、胸元も大きく開いた服に、股下スレスレのズボン姿を見たクリブルは、「服を着たままというのもいいな」と呟いた後で、「何を言っているんだ…エナメノーレに毒されたかな。さて、今日は10太刀以内に沈めるぞ」と言って、最下層を後にしていた。


通常の人喰い鬼ですら手を焼くのに、さらに巨大な人喰い鬼。

城の二階なんかに居ても手が届く巨体を相手に、クリブルは一気に踏み込んで力強い一撃を入れると巨大人喰い鬼の太腿を大きく切りつける。


苦しみながら振ってくる左腕を真正面から斬り飛ばすが、油断するとすぐに再生されてしまう。

クリブルは再生の暇も与えないように、今度は右腕を肘から斬り飛ばして一気に勝負に出る。

8回目の攻撃で人喰い鬼の喉に剣を突き立てて、ファイヤーボールを顔に当てて倒したクリブルは、「よし」と言うと剣をしまって最下層に帰る。


もう股間はエナメノーレを待っていて硬くなっていた。


部屋に入るとエナメノーレは待っていた。

「お帰り」と言い合いながら距離を詰めたクリブルは、服を脱がさずに服の上からエナメノーレを触り反応を楽しむ。


エナメノーレが「服!?脱いでない!」と言っても無視をして、その口を塞ぎ更に触れて反応を楽しみ、一気に挿入するとエナメノーレは部屋中に嬌声を響かせて果てる。


「もうこんなにしていたの?」

「クリブルこそ、もうこんなに」


「そうだよ。楽しみにしていたんだ」

「私も…!私も楽しみだった!焦らされた!1000年に匹敵した!」


こうしてまた今日も肌を重ねる。

クリブルは気づかないが、それは1週間も続いていた。


ようやく落ち着くと「エナメノーレ、皆は安心してた?」と本題に入るクリブルだったが、エナメノーレの返事は「滅んでいた」だった。


何を言われたのか理解できないクリブルが聞き返すと、「麓にあるライバスの村すら滅んでいた。城は攻め込まれて陥落、いや滅亡だな」と言われる。


「そ…そんな……。何があったんだ…?父上は?母上は?クリーレは?リリアントは?」

家族を案じるが「生きている者は居なかった」と言われる。


頭を振りながら今すぐ帰ろうとするクリブルに、「まだ早い。呪いが残っている」と言うエナメノーレ。


「なんとかならないのかい!?」

「なんとか?」


ここでエナメノーレが怖い笑顔で、「まあ散々したし、契約は太くなったから、少しは力を使えるな」と言った。


「何を?」

「簡単だ。我が権能は生と死を司る力。クリブル、お前にもその力は届いている。まあ、まだ生まれたての子供のようなものだがな。だが死を司る力なら少しは見せられるレベルだ。それも散々魔物達を殺し、私とセックスをしたからだぞ」


「エナメノーレ?」

「簡単だ。お前が私の死の力で、その呪いを死なせてしまう。そうすればワイプ山を出ても呪いは無くなる」


「わかった。やってみるよ」

「よし、死を意識しろ。殺してきた人喰い鬼の断末魔を思い出せ。その力を自身の周りを覆う呪いに向けろ」


「やってみる。見てて」

「任せろ」


クリブルは殺してきた魔物達の最後を意識する。

死をなんとなく理解しながら、それを集めて自分の周りに走らせると、エナメノーレが「それではお前が死ぬ」と言った。

慌てて意識を変えた時、自身の紫色の目を思い出して天井の鏡を見る。

鏡に映る真っ青な目。

その目の先にある紫色を探すと、「上出来だ。やれ」とエナメノーレの声が聞こえてきた。


クリブルは「死ね」と言うと、エナメノーレが顔を上気させて「最高だ。最高の死だった」と褒めながらクリブルを抱きしめて、「興奮した。生を…最高の生を私にくれ」と言ってクリブルをベッドに押し倒した。


外に出られたのは1週間後の事だった。

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