第5話 エナメノーレとの契約。

クリブルの身体が動くようになったのは1ヶ月が過ぎる頃で、エナメノーレは「ふむ。呪いの気が強すぎて、呪いの期間も長い事と、クリブルのポテンシャルの高さの反動が酷かったのだな」と言いながらクリブルにキスをする。


もう慣れたもので、クリブルはエナメノーレを受け入れるが、自分からはしない。


「ふふ。我慢するとは愛らしい奴。いつまで我慢できるかな?」

クリブルは徹底して自分からエナメノーレには触れない。

エナメノーレが手を取って、触ってみろと言いながら触れさせてくる時しか触らない。


動けるようになって服を求めたが、「やだ。邪魔だ。久しぶりの人肌だぞ?服なんていらない」と言われたので、未だに全裸生活を続けている。


エナメノーレはクリブルを誘惑し続けていて、「我慢するクリブルを見るのも、今の焦らされる状況というのもいいな」と上気した顔で言って、「我慢の限界が来たら言うといい。お前の呪いは根深い。一年では済まない恐れすらある」と続けると身体を擦り付けてきた。


根深い呪いについては、紫色の瞳だった時の事を聞かれたクリブルが、「生まれた時からだと聞いてます」と答えて、「胎児に施す呪いではないぞ?イカれている」と言うと、「そうなると歳は16だったか?解呪には相当長い期間が必要になるな」と言っていたので知っている。


クリブルはここで暮らすにあたって訓練をしたいと言う。

折角得た力が失われるのは困ると言うと、「契約をしたら考えがある」とエナメノーレは返してくる。


「先に何をするか説明は出来ますか?」

「ここは山頂から、地下に歩いて80層目にある私の家だ。かつてのギア王と話した事で、ここを作った時に上層部分には超どうでもいい魔物を配置した。ちなみに私の力で生み出したから無尽蔵に湧く。中層部分にまあどうでもいい魔物を配置した。そして下層部分にはこの前のデスキャットのような魔物を配置したし、一日一回蘇る。好きなだけ倒すといい」


あの死と隣り合わせの戦いをする。

確かにそれなら強くなれる気がしたクリブルは、「それをする為には契約?」と聞き返していた。


やる気に満ちたクリブルの顔を見た時に、ニヤリと笑うエナメノーレ。

エナメノーレは「そうだ。契約だ。私と契約してくれれば、上の階で好きに魔物を狩るといい。呪い切れまで時間はある。デスキャットを単身で狩れる戦士はそういない。強くなれるぞ?」と畳み込む。


「契約とは何をすれば?」

「セックスだ」


聞き間違いだと思い「え?」と聞き返すと、「だから私を抱け」と言うエナメノーレにクリブルは思考停止してしまう。

散々1ヶ月自分の身体に身体を押し付けて、「あたたかい」と悦ぶエナメノーレを見て自身が反応しないように努めてきた。


ギアの王子として無闇矢鱈に性行為に及べないと律してきたし、万一子供が出来たらと思っていた。


「子供?人と神は見た目は似ていても全く異なるものだ。避妊など不要。好きなだけ中出ししてくれて構わない。それをすればするほど契約は強まる」


心を読んだエナメノーレの声が耳から入り頭に響く。

あの肢体に触れられる。

豊満な胸に触れる。

内心「触らせてやろう」と手を取って押し付けてくる日を、どれだけ待ち望んだ事だろう。


エナメノーレは「安心しろ。契約したらお前以外の奴とは出来ない。今世では私の相手はお前だけだ。独占できるぞ?お前は外に出たら好きなだけ女を求めればいい。別の女も抱けばいい。かつてのギア王も同じだ。私と契約をしていたが、妃を迎えて子を成した」と言いながらクリブルの手を取ってベッドに引き摺り込む。


「初めてなどと臆したりするな。私の言う通りにしろ」


その後は止まらなかった。

「契約するか?」と聞かれ、「契約をする」と答えると、「ならば気の済むまでに抱いてみせろ。この場に空腹もなにもない」と言われたクリブルは、初めこそ「そう、そうやって触るんだ」、「そこだ。そう」、「そろそろいいぞ」、「好きに動け」とリードされていたが、いつの頃かリードもなく延々とそれしか知らないかのようにエナメノーレを抱いていた。

自分の放った精がエナメノーレから溢れようが、気にする事なく延々と抱いてエナメノーレから余裕が剥がれて、必死に耐えるように悦ぶ姿を見てさらに加速した。


気絶するように眠り、覚醒と同時にエナメノーレを求めてまた気絶するまで動く。

何度それを繰り返したかわからない。


部屋中にエナメノーレの嬌声が響き渡り、真っ白な肌に赤い痕がいくつも出来て声も出なくなる頃、情欲をぶつける相手から愛おしさを感じて優しく触れられる相手に見えてきたクリブルは、「…無理をさせすぎたかな?」と聞くと、「久しぶりに満たされた。まだ平気だが、そろそろスローペースの優しいやつが欲しい」と枯れた声で話してくるエナメノーレ。


「優しく?どうやるんだろう?」

「今すぐやれるなら試してくれ」


クリブルはゆっくりと赤い痕を撫でるようにエナメノーレに触れて、苦しそうな声にならないギリギリを意識して、エナメノーレを時間をかけてゆっくりと抱くと、エナメノーレは「これ凄く好きだ。これが欲しかった」と言って果てた。


だが一度寝て起きた時に、これだけをしようとしたら怒られる。


「違う!息も絶え絶えまで激しくされた後に優しくされたいのだ!1ヶ月も延々と抱き続けてもまだわからないのか?」

「1ヶ月?」


「そうだ。寝食を忘れて気絶以外を、全てセックスに使うとは思わなかったが楽しめた。まだまだ出来そうなのも頼もしいな。まだ呪い切れまでは時間がある。いつでも求めてくれ。私も求めるから応えてくれ」

クリブルは自身のバカさ加減に呆れたが、強くなれる環境、そして目の前の絶世の美女の女神との性生活に感謝をすることにした。


「もっと求めてもいいの?」

「勿論だ。生と死を司る私は戦場に身を置き、死を求め、セックスで生を感じてこそだ。1ヶ月でここまで強く繋がった契約者は初めてだクリブル。惚れてしまいそうだ」


「じゃあこれからは上の階で魔物を倒してきたらエナメノーレを抱く。行く前と帰ってきてから抱く事にする」

「それは素晴らしいな。どんなプレイでも受け入れてやる。狂った性癖を期待している」


「狂ったって…、僕は本でしか読んだ事ない」

「ほう、勉強熱心だな。ムッツリか?」


「ち…違っ、たまたまそう言う記述があっただけです!」

「構わん。想像でもいい、こうしてみたいと言うのがあれば言うといい。愉しもう」


こうしてワイプ山での日々が始まった。

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