譲れない想い×喧嘩

 ここは市場街の、ひと気がない場所。

 辺りは広く、使われていない古い建物がたっている。

 現在ここには、シルフィアとキキョウがいた。


 あれから二人は、人通りがない所で心置きなく戦おうという事になりここにくる。


 そして只今シルフィアとキキョウは、取っ組み合いの喧嘩をしていた。


「クッ……中々やるじゃないの!」

「シルフィア……永遠の美貌をよこしなさいよ!」

「ちょっ! 趣旨が変わってるんですけど!」


 そう言いシルフィアは、キキョウを投げ飛ばす。

 キキョウは投げ飛ばされ空中で眷属武器の鞭を構えると、シルフィアの腕に目掛けしならせる。と同時に鞭が伸びシルフィアの腕を絡みついた。

 シルフィアはその鞭に噛みつき切ろうとするも硬くて無理だ。


「あら、シルフィア。眷属の武器はないのかしら?」

「そのぐらい持ってるわよ!」


 挑発にのってしまいシルフィアは、瞬時にキャットクローを装着する。それと同時に、鞭が絡まる右手で手前に引っ張った。

 するとキキョウは、シルフィアの方に引き寄せられる。

 足で踏ん張るも間に合わない。そのままシルフィアの鉄の爪がキキョウの顔を襲った。そしてキキョウの顔には、ひっかき傷が見事につく。


「イタア~イ!! 何してくれてんのよ!? このメス、ドS猫ぉぉおお~!」


 そう叫びキキョウは、素早く鞭をシルフィアから外した。と同時に鞭をしならせると、シルフィアの腰に巻き付ける。

 シルフィアは巻き付いた鞭を解こうと試みた。


 《……――電撃!!》


 そうキキョウは小声で叫んだ。


「ギャアァァアアアー!!」


 シルフィアは間に合わず真面に電撃を浴びる。


「あら、丈夫ね。髪が、パーマがかってる程度なんてねぇ」


 そうキキョウに言われシルフィアは、口から煙を吐き身構えた。


「ゴホゴホッ……やってくれたわね!」


 そう言いシルフィアは技を使おうとする。


 だが丁度その時……。


 ”シルフィア、何をやっている!”


 グリモエステルスは怒っていた。


 ”何があった、キキョウ!”


 強い口調でセイントチェーンは問いかける。

 だがシルフィアとキキョウは、その言葉を無視していた。というよりも、お互いに頭に血がのぼっていたため聞こえていなかったのである。

 その後もシルフィアとキキョウは、グリモエステルスとセイントチェーンの問いかけを無視し取っ組み合いの喧嘩を続けていた。


 ∞✦∞✦∞✦∞


 ここはエルの家。

 あれからエルとラクドサスは、なんとか話題をみつけ間を持たせる。


「しかし……こうも遅いと気になるな」

「ああ、何かあったんじゃないよな?」


 そうエルが言うとラクドサスは、窓の方へ視線を向ける。


 ”ラクドサス、今すぐキキョウの下に向かうのじゃ”

(どういう事ですか?)

 ”何があったかはわからぬが、シルフィアと喧嘩をしておる”


 それを聞きラクドサスは、驚き立ち上がった。

 それと同時にエルも驚き立ち上がる。

 そう同じような内容をグリモエステルスに言われたのだ。


「ラクドサス、そっちもか?」

「ああ、何があったかは分からん。だが、とりあえず市場に向かう」


 それを聞きエルは頷く。

 そして二人は市場へ向かった。

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