尾行に気づく

 ここは商店街の建物の物陰。あれからセルギガは、エル達が通り過ぎるのを待っていた。


(行ったか。一瞬、立ちどまったから気づかれたのかと思ったが……まあそんなことないよな)


 そう考えエル達がどこの店に入るのかみている。



 そして時は少し遡り……エル達が商店街を歩いていた。


「何を買おうかなぁ」

「ララファは、アクセサリーを買うんだよな。向かう場所が分かってるなら、先にそこに行こう」


 エルがそう言うとシルフィアとログスとララファは頷く。

 そうこう話をしながらエル達は歩いている。


「……!?」


 するとエルは、誰かの視線を感じ立ちどまった。


(……誰だ? 普通の視線じゃない。間違いなく、俺たちをみている)


 エルが立ちどまったことに気づき三人も静止する。


「エル、どうしたの?」

「あーごめん、ちょっと忘れ物したような気がして考えてた」

「忘れ物って?」


 そうシルフィアに聞かれエルは首を横に振った。


「よく考えたら、バッグに入っていたから大丈夫だ」

「それならよかったわ。じゃあ、行きましょっ!」


 そう言いシルフィアは歩きだす。そのあとをエルとログスとララファが追いかける。


(グリモエステルス、シルフィアとログスとララファと意識を繋いでくれ)

 ”分かった。今感じた気配の件でだろ?”

(ああ、歩きながら話そうと思う)


 それを聞きグリモエステルスは、三人の意識をエルと繋いだ。


(三人共、繋がっているか?)


 そうエルは問いかける。


(エル、これってどういう事?)

(アタシは、繋がってるよ!)

(俺も繋がってるけど、何かあったのか?)


 エルはそれを聞き軽く頷いた。


(誰かにつけられている)

(それって……ダスカ、それともラクドサスなの?)

(シルフィア、恐らくどっちも違う。感じたことの……いや、この感じは以前どこかで)


 そう思いエルは考え始める。


(……まさか、エルの村を襲ったヤツ。でも、あのパーティーがこの町に来てるなんて聞いたことないわ)

(そういえば、シルフィアは知ってるんだよな?)

(ええ、エル……そうだけど。まだ、信じられないのよ……昔の仲間がそんなことをしたなんて)


 そう言いシルフィアは俯いた。


(そうか……でも、もし今つけているヤツがそうなら可能性は高い)

(そうだね……そうじゃないと思いたいけど。エルが言っていた顔に傷がある男の名前だけは、教えておくね。セルギガ・バルメス、バッドスコーピオンの現在のリーダーよ)

(現在のリーダーってことは、以前は?)


 そう思いエルは首を傾げる。


(前は、エルムス……エルのお父さんがリーダーだった)

(なるほど、そういう事か。それなら、可能性があり過ぎるよな?)

(そうかもしれない……でも、信じたくないのよ。あのセルギガが、そんなことをしたなんて……)


 そう言いシルフィアは、つらそうな表情になった。


(……そうか。とりあえず、あとをつけているヤツを撒こう)


 そうエルが言うと三人は頷く。

 その後エル達は、近くの防具屋に入る。

 そして一方セルギアは、それを確認すると物陰でエル達が出てくるのを待つことにした。

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