気づかれる

 ここはミライゼル冒険者ギルド商会の建物の外側。その入口付近には、エルとシルフィアとログスとララファがいる。


 あれからエル達は、依頼書をカルシャにみせ受理してもらった。その後、外に出てここで話をしている。


 現在エルは、カルシャから渡されたダグル迷宮内の地図が記載されるプレートをみていた。


「これって、シルフィアが持っていたのと同じだよな?」

「そうね。だけど、さっきカルシャさんも云ってたでしょ」

「ああ……全く新しい物で、ちゃんと仕事をしているのかを調べるための地図なんだよな」


 そうエルが言うとシルフィアは頷く。


「そうね。それで……その地図に歩いた場所が記載されるから、怠けてるかどうか分かるって訳よ」

「シルフィア……依頼を受けて、怠けるヤツって居るのか?」

「……中には居るわよ」


 それを聞きエルは、なるほどと納得する。


「それはそうと……これからどうする?」

「エル……偶には、みんなで買い物でもしない?」


 そうシルフィアが言うとログスとララファは、ニパッと満面の笑顔で頷いた。


「いいですね。どこに行くんですか?」

「アタシは、アクセサリーをみたいなぁ」

「んー……俺は、別に予定がないからそれでいい」


 そう言いエルは、シルフィアをみた。


「じゃあ、決まりね。じゃあ、行こうー!」


 シルフィアはそう言い歩き出し、そのあとをエル達が付いていく。


 ∞✦∞✦∞✦∞


 ここは商店街。

 エル達は街路を話しながら歩いている。

 そんなエル達を物陰から監視している者たちがいた。そうセルギガとダスカである。

 実はギルドの建物の物陰に隠れて、感づかれないようにエル達を監視していたのだ。

 その後エル達が移動したのでダスカは、向かった方角から場所が分かり裏道を案内したのである。


「なるほど、ギルドからの裏道があるのか。これなら正面からみえるな。それはそうと……。あとは俺だけでいい。お前は、アジトで待っててくれ」


 それを聞きダスカは、不満に思うが顔に出さず頷いた。


「何をされるのかは、分かりませんが……承知しました」

「余計なことは、言わんでいい。……目障りだ、いいから去れ!」


 そう言われダスカは、渋々この場から姿を消す。


「やっと行ったか。さてと、エルか……エルムスの子供ならばどちらかに似ているはずだ」


 そう思い物陰からエル達の方をみる。


(アレはシルフィア!? なぜそこにお前がいる? そういえば、バスターへルギアが奇怪なことを云っていたな。一人、眷属が減ったと……まさかそれがシルフィアなのか)


 そう思いながらセルギガは、シルフィアを見据えた。


(そうだとすると、誰かの眷属になっている可能性がある。まさかそれが、あのエルなのか?)


 そう思考を巡らせエルの方へ視線を向ける。


(……フッ、可能性はあるな。これは……昔のエルムスに似ているじゃないか。いや、あの顔は……村の入口で会っている。似ているとは、思ったが……しくじったか)


 そう思うとセルギアは、苦虫を潰したような顔で悔しがっていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る