尾行を撒くと談話と悩むと

 ここは防具店の中。

 エルとシルフィアとログスとララファは、少し店の中をみた。その後、入って来た所じゃない出入口から外にでる。

 そして一旦、エルの家に向かった。


 ∞✦∞✦∞✦∞


 ここはエルの家。

 エル達は部屋の床に座っている。


「なんとか撒いたな」

「エル……あの防具屋に、運よく別の出入口があって良かったわ」

「そうですね。でも、なかったら……どうするつもりだったんですか?」


 そう言いログスはエルに視線を向けた。


「なければ、違う店に行くつもりだった」


 エルがそう言うと三人は、なるほどと思い頷く。


「まぁあの状況じゃ、何も考えられないわよね」

「シルフィア、そういう事だ。それでだけど……さっきつけてたヤツは、間違いなく俺を監視してた」

「そうね……もしエルの村を襲ったヤツだとしたら、気づいてつけてた可能性があるわ」


 そうシルフィアに言われエルは、俯き床の一点をみつめる。


「その可能性は、ある。そうなると……村ですれ違った時に、俺の顔をみていたってことだよな」

「そうだと思うわ。だけど……違うかも知れない。私は……」

「そうだな……シルフィア。とりあえずは、用心しないと……これから何が起こるか分からない」


 そうエルが言うとシルフィアとログスとララファは頷いた。


「この件は、様子をみよう。それよりも依頼の方をどうする?」

「エル、そうね。さっきも言ったけど、明日の方がいいと思う」

「俺もそれでいい。ログスとララファは、それで大丈夫か?」


 そう言いエルは、ログスとララファをみる。


「アタシは、大丈夫だよ」

「ああ、俺も明日で大丈夫です」


 ログスとララファはそう言いエルを見据えた。


「じゃあ、それでいいな。明日の朝、ダグル迷宮の入口に集合。それと何かあったら、グリモエステルスに言ってくれれば意識を繋いでくれる」

「分かったわ。その時は、そうする」


 そうシルフィアが言いログスとララファも、ウンっと頷く。

 その後、シルフィアとログスとララファはエルの家を出て帰っていった。

 そしてシルフィアは、ログスとララファを家まで送り届ける。


 片やエルはシルフィア達が帰ったあと、一人で考え込んでいた。


(帰ったな。さて、どうする……今から俺をつけていたヤツのことを調べた方がいいか?

 もし村を襲ったヤツなら……。それがシルフィアの言っていた者だった場合は、俺一人の方がいい)

 ”エル、一人でなんとかしようと思うのはよくない。シルフィア達は、なんのための眷属なんだい”

(……グリモエステルス、この会話ってシルフィア達と繋いでないよな?)


 そう言いエルは、ムッとする。


 ”流石にこの会話は繋いでいない”

(それならいい。眷属だからって、シルフィア達をこれ以上……巻き込みたくないんだ)

 ”うむ、既に巻き込んでいると思うが”


 それを聞きエルは、つらい表情を浮かべ俯いた。


(そうだな……本当なら、全て済んでから知り合いたかったよ)


 そう言いエルは頭を抱える。

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