真に想う気持ち
シルフィアはログスとララファに更に質問した。
「これはもしもだけど、エルがオーパーツ所持者だったらどうする?」
「……そうだなぁ、さっきも言ったけどエルのことは尊敬してる。もし、そうなら俺は眷属になりたい」
「そうだね……アタシも、エルの眷属なら喜んでなるよ」
それを聞いたエルは難しい表情で一点をみつめる。
「さっきから聞いてるけど、俺はそんなに凄い訳じゃない。それに、もし俺がそのオーパーツのお陰で強くなれたって云ったらどう思う?」
「オーパーツのお陰で強くなった……それって、手段だよな?」
「うん、それに……オーパーツを使い強くなることって悪くないと思う」
エルは二人の返答が意外だったため何も言えなくなった。
「エル、二人はこう言ってるけどどうするの?」
「シルフィアさん、もしかして……もしもじゃなくて」
そう言いログスはエルをみる。
「覚悟が必要だぞ……眷属になるならな」
「エル、やっぱりそうなんだな。覚悟……ってことは、そんなに危険なのか?」
ログスに問われエルは頷いた。
「眷属になること自体は、危険じゃない……そのあとからだろうな」
「エルの言う通り、確かにそうね。所持者は、狙われ易いから……それにその眷属となると余計よ」
「オーパーツ所持者より弱いからですか?」
そうログスが問うと、エルとシルフィアは首を横に振る。
「違うとも言えないけど、元々眷属は所持者を守る存在でもあるの。だから所持者にとって、眷属が多いほどいいのよ」
「ああ……だけど、俺は必要以上に増やしたくない。それに、誰も俺に縛られて欲しくないんだ」
「エル、それ本心? 今までもだけど、本当は仲間が欲しいんじゃないのかな」
そうシルフィアに言われエルは、つらい表情になり頭を抱えた。
「仲間……いや、必要ない。そんなこと一度も思ったことないし、これからも……」
「そうかな? 能力を使っていた時のエルは、喜んでいたようにみえたけど」
「……そんなこと……ある訳ない」
そう言うもエルは、かなりつらそうだ。
「エルが仲間を、本当に必要ないって思っていても……俺はエルの眷属になりたい! 弱いかもしれないけど、恩を返したいんだ」
「アタシも同じだよ。それにエルのそばに居たい……だけど、今のままじゃ足を引っ張る。でも……眷属になれば、少しは手伝えると思うから」
そう言いログスとララファは、真剣な顔でエルをみる。
「二人はこう言っているけど、どうするの……エル」
シルフィアにそう問われエルは、半目で三人をみた。
「本当にいいのか? それに俺は、能力を使うと変わる」
「どんな風に変わるか分からないけど、俺は大丈夫です」
「うん、もし今と感じが変わっても……エルはエルだよ」
そうログスとララファに言われエルは涙を浮かべる。
そう今まで色々なことを我慢してきた。それらを、心の奥に追いやり蓋をしていたのである。
それをみたシルフィアとログスとララファは戸惑った。そうまさかエルが泣くとは思わなかったからだ。
その後エルは、今まで心の奥にあったものが溢れ出しこみ上げて涙が止まらなくなる。
そしてエルは、しばらく泣いていた。
それをみてシルフィアとログスとララファは、そんなエルのことを心配に思いみている。
そして三人は、エルが落ち着くまで待つことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます