第二章

戸惑いと悩む

 ダグル迷宮がある付近の岩陰。ここにはエルとシルフィアとログスとララファがいる。

 あれからエル達は、一旦ダグル迷宮を出ようという事になった。

 そして現在エル達はここで話をしている。


「ねぇ、これからのことをどこかで話さない?」

「シルフィア、それはいいけど。ログスにララファ、依頼の方はどうするんだ?」


 そう言いエルはログスとララファをみた。


「もう、兄貴を探せない。無理だって分かったし……」

「ログス、もう一度だけ依頼をしないか?」

「エル、それってどういう事?」


 ララファは不思議に思い問いかける。


「今度は、俺とシルフィアだけで二人の兄貴を探してくる……依頼をしてくれればな」

「ううん、それじゃ嫌だ。だったら俺も探しに行く!」

「アタシもログスと同じ……」


 そうログスとララファに言われエルは悩んだ。


(んー、このまま放っておけない。二人は諦めるって言ってるけど、恐らく本心じゃないよな。……なんとかしてあげられればいいんだけどなぁ)

 ”お人好しだな。二人がいいと言っているなら、放っておけ”

(その方がいいんだろうな……。だけど、どうしても二人のことが心配なんだ。他の冒険者にまた依頼しそうで)


 そう思いエルはログスとララファをみる。


(ねぇ、だったら二人にも眷属になってもらったら?)

(シルフィア? グリモエステルス、意識を繋いだのか!?)

 ”ああ、その方が話をするのにいいと思ったからね”


 そう言われエルは不機嫌になった。


(これじゃ、下手なこと考えられない)

(エル、いつも繋がってないから大丈夫だと思うわよ)

 ”そういう事だ。必要な時にしか、意識を繋げんからな”


 それを聞きエルは溜息をつく。


(ハァ~、そうですね。それでシルフィア、なんで二人を眷属にって思うんだ?)

(休憩施設でも話したけど、二人は強くなりたいと思っているわ。それに自分たちの力でお兄さんを探したいとも……)

(そうだな……だけど眷属になれば、俺の都合で二人を縛ることになる)


 そう思いエルは、つらい気持ちになる。


 ”眷属になったら君の都合で、本当に二人を縛ると思っているのか?”

(違うと云うんですか?)

(私も二人を縛るとは思わないわ)


 そうシルフィアに言われエルは考えた。


(もしそうだとしても、二人の気持ちはどうなる?)

 ”確認すればいい。その代わり、儂の名前を出さずにな”

(確認……聞くにしても、どうやって?)


 そう思いエルは悩んだ。


(私が聞いてみようか?)

(シルフィアが? でも……)

 ”うむ、ここはシルフィアを信じて任せたらどうだ?”


 そう言われエルは心の中で頷く。


(分かった。シルフィア、ごめん……お願いします)

(問題ないわ。とりあえず、あとは私の家で話しましょう)


 そう言いシルフィアはログスとララファをみた。


 ”じゃあ儂は、様子をみておるからな”


 グリモエステルスはそう言い交信を遮断する。

 そのあと二人は、ログスとララファに話してシルフィアの家に行くことにした。


「うん、そうだな……ここで話していても疲れるし」

「ログスの言う通り……それに、回収したアイテムとかも分けないと」


 そう言いログスとララファは、エルとシルフィアを順にみる。

 そしてその後、四人はシルフィアの家に向かったのだった。

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