ダグル迷宮地下二階層……脱出と経過報告

 エルはシルフィアと話したあと、岩戸を開けるためのスイッチを魔法で探した。すると岩戸の右側の岩壁の一部が青く発光する。

 それを確認するとエルは、青く光った部分を手で触ってみた。

 手で触れた部分が楕円形にくり抜かれたように、スッと消える。


「なんか上に付いてるね」

「うん、下に引くタイプみたいだな」


 エルはその部分を下へ引いた。


 ――ゴゴゴゴゴゴゴォォォォー……――


 そう音を立てながら岩戸が上がる。


「開いたわね。んー、だけどこの先って?」

「ちょっと待って……俺が先に出てみる」

「うん、気をつけてね」


 それを聞きエルは頷いた。その後、警戒しながら出てみた。

 そしてエルは状況を確認すると、再び部屋に入ってくる。


「シルフィア、通路だ。それに、知ってる場所みたい」

「……じゃあ、戻れそうだね」

「ああ、とりあえず一旦ログスとララファの所に戻ろう」


 そう言われシルフィアは頷いた。

 その後二人は、この部屋から出てログスとララファが居る休憩施設に向かう。


 ∞✦∞✧∞✦∞


 ここはダグル迷宮地下二階層にある休憩施設。

 あれからエルとシルフィアはここにくる。そしてログスとララファと話をしていた。


「……そうか。兄貴たちは、みつからなかったんだな」


 そう言いログスは俯く。


「ごめん……探せなくって」

「エル、仕方ないよね。でも、兄さん……どこに居るのかなぁ」


 ララファはそう言いながら遠くをみつめている。


「どうするの? まだ行ってない場所があると思うけど」

「シルフィア。そうだな……少し休んだら行くか?」


 そうエルが言うとララファは首を横に振る。


「もういいよ。エルとシルフィアが、これだけ探しても……みつからないんだし」

「そうだな……ララファの言う通り、もう大丈夫です」


 そう言うもログスとララファは、凄くつらそうだ。


「本当にそれでいいのか?」

「エル、そう言ったって……。このまま探してもらっていても、二人に迷惑かけているだけだし。結局は、自分じゃ何もできてない」

「うん、ログスの言う通り。アタシも、ただここで待っているなんて嫌だよ。もし、また行くならアタシも……」


 ララファは訴えかけるようにエルとシルフィアをみる。


「それは……無理だ。俺たちでも、やっとだったからな」

「そ、そうだね……」


 そう言いシルフィアはエルから目を逸らした。


(やっと……って、エルは違う気がするけど……わざとかな?)


 そうシルフィアは思いエルをみる。


「じゃあ、いいです。悔しいけど……諦める」

「ログス……」


 エルはログスとララファの気持ちが分かるためそれ以上、言葉にならなかった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る