話し合い

 ここはシルフィアが住まう家。家と言っても、外見はコンクリートのようなレンガで造った感じの、こじんまりとした建物だ。

 建物の中は、至ってシンプル。必要な物以外は、何もない。

 あれからエルは、シルフィアとログスとララファとここに来ていた。

 四人は円いテーブルを囲み椅子に座り話をしている。


「……これで自己紹介は済んだわね。それで、これからどうするの?」

「地下第二階層は、どんな場所なんだ?」

「そうねぇ。前のパーティーで行った時は、ちょっと異質な気がしたのよね」


 それを聞きエルは難しい表情になる。


「異質……ってことは、他の階と違う訳だな」

「ええ、そうね。勿論、地下第一階層よりも魔物や魔獣が強いのは当たり前なんだけど。地下第二階層の特殊なところは、その他の階層の魔物や魔獣がいるのよ」

「……それは、ランダムにか?」


 そうエルが聞くとシルフィアは首を横に振った。


「そうねぇ……ランダムっていうよりも、各部屋ごとにかな」

「ってことは、部屋によって当たりハズレがあるってことか」

「そうなるわね。あと気をつけることは、罠かな」


 そう言うと鞄の中から地図を取りテーブルの上に置く。


「これもしかして、ダグル迷宮の地図ですか?」


 ログスが問うとシルフィアは頷き地図の描かれている、とある部分を指差した。

 因みに地図には、特別な魔法が付与されている。そのため通った場所は記載されていく。


「そうよ。それで、ここが地下第二階層」

「なるほど……。まだ、未開拓の場所が沢山だな」

「ええ、罠のせいで先に進めなかったりするから」


 それを聞きログスとララファは、不安な表情を浮かべる。


「もしかして兄さんは、罠にかかって……」

「ララファ、それは分からないわ。とりあえず、探してみましょう」


 そう言われララファは頷いた。

 ログスも、コクッと頷く。


「そうなると罠は、部屋だけじゃなくて……通路にも仕掛けられてるって訳か」

「そうなるわね。だから、ブルーストーン以上の冒険者が一人でも居ないと無理なのよ」

「でも、それでも難しいんじゃないのか?」


 そうエルが言うとシルフィアは、ニパッと笑う。


「一人なら難しいでしょうね。これでも私、ブルーストーンだから……二人居れば問題ないでしょ!」

「……それなら、大丈夫だな。あとは、いつダグル迷宮に向かうかだ」

「エル、今日は無理そう?」


 そうシルフィアに聞かれエルは、考えたあと首を横に振る。


「悪い、今日この町に着いたばかりなんだ。住むとこ探さないといけない。それからじゃ駄目か?」

「そっかぁ、そうねぇ。ログスとララファは、どうなのかな?」


 そう問われ二人は考えた。


「……できれば早く探しに行きたい。だけど、そういう事なら大丈夫です」

「うん、アタシもログスと同じで問題ないですよ」


 それを聞いたシルフィアは、ニコリと微笑む。その後、エルの方へと視線を向ける。


「ってことだから、私も大丈夫よ」

「ありがとう。じゃあ、急いで住む所を探さないとな」

「宛はあるの?」


 そう聞かれエルは首を横に振った。


「これから探そうと思ってる」

「じゃあ今日は、みんなでエルの住居を探しましょうか」


 ログスとララファは、ニコニコしながら頷く。


「いいのか? 手伝ってくれるのは、ありがたい。だけど、何もお礼できないぞ」

「お礼なんていいのよ。それに、早く住居みつけてもらわないと……仕事できないでしょ」

「ああ、そうか。そうだな……すまない、助かる」


 そうエルが言うと三人は頷き、ニコリと笑みを浮かべる。

 そしてその後、四人はシルフィアの家を出てエルの住まいを探し歩くのだった。

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