新居と待ち合わせの朝

 ここはダバイの町の中央から西にある住宅街。そしてエルの家だ。

 あれからエルは、シルフィアとログスとララファと一緒に住む場所を探し歩く。

 その後、すぐに入居できる賃貸の家をみつけることができた。

 というよりも、ここはシルフィアの知り合いが所有している家である。それも月二万グベルと格安で借りられたのだ。

 因みにこのダバイの町の賃貸の相場は、約四万グベル~約十万グベルである。



 そして現在エルは一人、部屋の床に座り壁に寄りかかっていた。

 シルフィア達は、既に帰り居ない。


(シルフィアのお陰で、安く借りられた。小さいけど、一人で住むには丁度いい。それに荷物もそんなにないしな。あとで、必要な物を買ってこないと)


 そう思いながらエルは、部屋の中を見渡した。


(そうだなぁ……明日、迷宮に行くって言ってたから。シルフィアからもらった迷宮の地図、みとくか)


 そう言い床に無造作に置かれている地図を取る。そして、目の前まで持って来て床に置きみた。


(……第二階層か。そこまで行くには、まず第一階層をぬけないとな。まぁ、シルフィアが居るから大丈夫か。何度か迷宮に行ってるみたいだし……)


 フゥ―と息を漏らす。


(まぁ明日、行ってみれば……実際のことは分かるだろう)


 そう思うと地図をバッグに仕舞う。

 その後、食事をしたあとしばらくして眠りについた。



 ∞✦∞✧∞✦∞



 翌朝――エルは家の外で、シルフィアとログスとララファのことを待ちながら考えている。


(いよいよか。迷宮が、どんな構造になってるのか……地図だけじゃ分からないからな)


 そうこう考えているとシルフィアがきた。


「エル、外で待ってたんだね。結構、待った?」


 シルフィアにそう聞かれエルは首を横に振る。


「いや、そんなに待ってない」

「良かったぁ。なんか険しい表情してたから、怒ってるのかと思っちゃった」

「ごめん、考えごとしてただけだ」


 それを聞きシルフィアは、ホッと胸を撫で下ろした。


「そういえばログスとララファ、まだ来てないみたいだね」

「そうだな。肝心の二人が居ないと、迷宮には行けない」

「うん、確かにね。そうだ! 会った時から、ずっと思ってたんだけど。エルって、この大陸の出身じゃないよね?」


 そう問われエルは首を傾げる。


「ああ、そうだけど……分かるのか?」

「ええ……勿論。人間でも種族に寄って違うからね」

「なるほど……ってことは、他の大陸にも行ったことがあるのか?」


 シルフィアはそう言われ頷いた。


「結構、前に色んな所を転々と旅してたのよ」

「そっか……じゃあ、もしかしたら俺が居た村にも来たかもしれないな」

「そうね。そういえば、エルの村って?」


 そう聞かれエルは一瞬、躊躇うが大丈夫たと思い話し始める。


「俺の村は、ブブガス。まぁ、小さな村だったから知らないと思うけどな」


 それを聞きシルフィアは驚きエルを、ジーっとみた。


「ブブガス村って、もしかしてサリドデの町の近くの?」

「そうだけど……知ってるのか?」

「かなり昔だけど……立ち寄ったことがあるの。エルって、そういえばラルギエだっけ?」


 エルはそう聞かれ不思議に思う。


「ああ、そうだけど。それが、どうしたんだ?」

「もしかして、エルのお父さんて……エルムスさん?」

「父さんのこと、知ってるのか?」


 そう問いかけられシルフィアは、険しい表情で考え込んだ。その後、エルを見据えた。

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