ダバイの町の【ミライゼル冒険者ギルド商会】……2

 受付嬢が戻ってくるのを待ちながら、エルは考えている。


(この町に、あの冒険者が居るとは限らない。だけど、ここは大きなギルドだ。ここに居ないとしても、なんらかの情報が得られるかも)


 そうこう考えながら、どこか遠くをみていた。


「ラルギエ様。お待たせ致しました」


 その声を聞きエルは、カウンターの方へと向きを変える。

 受付嬢は書類とエルのミラルカードをカウンターの上に置いた。


「この書類に記入してください」


 そう言われエルは、軽く頷き書類に書き込む。


(相変わらず面倒だよなぁ。ギルドごとに書類、書かなきゃならないし……)


 そう思いながら書き込み、最後にサインをする。その後、記入し終えたことを受付嬢に伝えた。

 受付嬢はその書類を確認する。


「記入が漏れている所はありませんね。ただこれは規定ですので、いくつか確認させて頂きます」

「分かりました」


 そう言いエルは書類の方に視線を向けた。


「エル・ラルギエ、十八歳。ランクがブルーストーンですね。ミラルカードとも一致いたしました。カードの方はお返し致します」


 エルは受付嬢からカードを受け取りバッグの中に仕舞う。


 因みにギルドのランクは……。


 ・ホワイトストーン  ↓

 ・グレイストーン

 ・ブラックストーン

 ・ブルーストーン

 ・シルバーストーン

 ・ゴールドストーン

 ・レインボーストーン


 一番、低いランクがホワイトストーン。そして、レインボーストーンが最高位ランクだ。

 ランク付けは、仕事の質と量で判断し決められる。最初のランクは、ホワイトストーンからだ。


 周囲が、ざわつき始める。そう受付嬢が、エルのランクを言ったからだ。

 エルの年齢で、ブルーストーンのランクに上がれる者は殆どいないからである。

 近くに居る者の話し声がエルの耳に入ってきた。


(そんなに珍しいのか? ブルーストーンのランクって……)


 そう思うも聞かないフリをする。


「ラルギエ様。今日は、どうされますか?」

「そうだなぁ。元々ダグル迷宮のことを調べたくて、この町にきた。だから、それに関連した依頼があれば……」

「勿論、ありますよ。ただ殆どの依頼が……パーティーを組んでないと、無理だと思われます」


 それを聞きエルは、どうするか悩む。


「パーティーですか。俺のランクだと、単独で行える依頼がないんですね」

「あるのですが……。かなり退屈かと」

「どんな依頼ですか?」


 そう言いエルは受付嬢をみつめる。すると受付嬢の顔が赤くなった。


「はにゃい……。いえ……はい、依頼書の方を持って参りますので……お待ちくださいませ」


 受付嬢はそう言うと奥の方へと向かう。

 それを聞いたエルは、再びカウンターに背を向け寄りかかる。

 そして受付嬢が戻ってくるまでの間、ギルド内を観察していたのだった。

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