第一章

ダバイの町の【ミライゼル冒険者ギルド商会】……1

 ここはネルオン大陸の中央部にあるダバイの町。この町には、ダグル迷宮がある。そのため冒険者が多く集まって来ており、人口は普通の町よりも多い。

 その冒険者たちのためにあるのが、ミライゼル冒険者ギルド商会だ。このミライゼル冒険者ギルド商会は、各地の町や村などにもある。



 そしてここは、その冒険者ギルドだ。このギルドの出入口では、この町に着いたばかりのエルが立っていた。


(あれから、もう半年か……。結構な距離、歩いたな)


 そう言いエルは、ギルドを見回す。

 その面構えは以前よりも若干、大人びていた。それと大剣以外の装備などは、サリドデの町を出た時よりも良い物を着ている。


(やっとの思いで、ここに来た。だけど、結局あの冒険者たちはみつからない。

 でも……見た感じ他の町よりも、ここは人口が多い。それに、多くの冒険者がいる。もしかしたら、情報が得られるかもしれないしな)


 エルはそう思いギルドの受付の方に向かう。

 ギルド内の至る所に冒険者たちがいる。テーブルを挟み椅子に腰掛け話をする者や、あちらこちらで立ち話をしている者たち、受付のカウンターで話をする者などがいた。

 その者たちはエルをみながら、コソコソと話をしている。


「ねぇ、まだ若そうな子ね」

「そうだな。まだ冒険者になりたての、ど素人だろう」


 そう言いながら二人は、エルを目で追った。

 エルはそのことに気づくも、聞いていないフリをし受付のカウンターへと向かう。


(なるべく、いざこざを起こさないように気をつけよう。面倒なことになるのは、嫌だしな)


 カウンターまでくるとエルは、バッグからカードを取り出した。


 それはミラルカードと言い、冒険者としての身分証明書のような物だ。


 エルはミラルカードを受付の女性……受付嬢にみせる。


「この町で仕事をするための、申請でよろしいでしょうか?」

「はい、お願いします」

「承知いたしました。少々お待ちください」


 軽く会釈をしたあと受付嬢は、エルのミラルカードを持ちカウンターの奥へと向かった。

 エルは振り返り、カウンターに寄りかかる。


(思っていた以上に、人が多い。流石……最も大きなダンジョンがある町って、言われているだけのことはあるな)


 そう思いながらギルド内をみていた。

 そんな中ギルド内では、チラチラとエルをみながら話をしている。


(俺の方を、みてる人たちが多い。冒険者が珍しいのか? いや、それはないよな。でも……気になるけど、まぁいいか)


 そうこう思い考えながら、受付嬢が戻ってくるのを待っていたのだった。

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