プロローグ……4
エルは叫びながら一軒一軒、家を覗き生存者を探し歩く。
「誰か、居たら返事してください!!」
そう言うも誰の返事もない。
(やっぱり、無理なのか……)
そう思うも全ての家を探し歩く。だが、やはり生存者は居なかった。
火は段々に消える。だけど、殆どの家が焼け落ちた。
エルは焼け落ちた民家を見渡す。
「なぜだ……なんで、こんなことに……」
ガクッと膝をつき両手を地面につけた。そして、大声で泣き叫んだ。
「うぁぁあああああ――」
泣きながら母親のマルセのことや、村のみんなのことが脳裏に浮かぶ。そして、泣きながら自問自答し始める。
(誰がこんな酷いことを……いったい、何が遭ったって言うんだ。そもそも、なんで俺だけが……。
俺が
そう考えながら涙を拭った。エルは更に思考を巡らせる。
(だけど、誰がこんなことを? 村の誰かが……ううん、あり得ない……)
そう思いながら立ち上がった。
(じゃあ、誰が村のみんなを……)
思考を巡らせながら、周囲を見渡してみる。エルは村の出入口の方を向くと、あることを思い出した。
そう、村に数人の冒険者が入って行ったことをだ。
(そういえば、冒険者が村に……。だけど、そうだとしても……何もないこんな村を襲ったんだ? それも、皆殺しって……)
再び涙が出てくる。それを手で拭った。
(ううん……その冒険者たちが、やったとは限らない。でも、何か知っているかもしれないよな)
そう思うとエルは、マルセが居る方を向く。
(どうなる訳でもないけど……それに、探し出せるか分からない。でも、一人の顔は覚えてる。顔に大きな傷があったから、それを頼りに探せば……)
エルはそう思考を巡らせながら、マルセの方へ向かい歩き出す。涙を流しながら……。
(そうだ……探求者、ううん……そっちじゃない。今、必要なのは……あの
あれを手に入れて強くなる。それに今なら、あの魔導書を開く覚悟もあるしな)
そう考えがまとまると涙を全て拭い、キッと前を見据える。そして、気持ちを切り替えるとマルセのもとに駆け出した。
マルセのそばまでくると片膝をつきみる。
「母さん、みつかるか分からないけど……ううん、どんなことがあっても探し出すよ絶対に……。だけど、そのあとどうするかは分からない。でも……必ず……」
そう誓う。その後、マルセに別れを告げ埋葬した。
村のみんなも同じく別れを告げ埋葬する。
「これでいいかな。改めて母さん、みんな……行ってくる」
そう言うとエルは、マルセと村の者たちの墓に背を向け歩き出す。
そして村を出るとエルは、サリドデの町の【古魔製品店】に向かったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます