プロローグ……2

 ここはサリドデの町。あれからエルは、しばらく歩き町に辿り着く。その後、紙に書いてある物を全て買い終えると町の中を歩いていた。


(頼まれた物は全て買った。あとは、)


 そう思いながら歩いていると、目の前に見慣れない店が建っている。それに気づきエルは、その建物の前で立ちどまった。


「この店、前もここにあったかな?」


 そう思い建物を見回す。


「なんの店だろう? 【古魔製品店】って書いてあるけど。んー、聞いたことないなぁ」


 ここで考えてても分からないと思い店の中に入った。



 店の中に入るなり周囲を見渡してみる。中は古ぼけた品々が至る所に飾ってあった。


「凄い、これってみんな昔の物だよな。だけど一部、新しい物もある」


 そう思いながら店内を歩く。すると古本が飾られている棚の前で立ちどまる。


「これって魔導書だよな」


 その魔導書が気になり触ろうとした。


「それに触らない方がいいわよ」


 その声を聞き振り返る。するとそこには銀髪で綺麗なハイエルフの女性が立っていた。


「あ、すみません。でも、なんで触っちゃ駄目なんですか?」

「それはね。その本は普通の魔導書じゃないからよ」

「普通の魔導書じゃない、って?」


 エルは魔導書のことが気になりそう問いかける。


「ええ、その魔導書は【グリモエステルス】と言って。人を選ぶのよ。だから余程、覚悟がないと危険なの」

「危険……そうなんですね。気になるけど、やめときます」

「フフフ、それが懸命ね。それはそうと貴方、探求者に興味ないかしら」


 そう言われエルは首を傾げた。そう、なんでそう聞いたのか、その探求者とはなんなのか分からなかったからである。


「探求者ってなんですか?」

「そうか……知らないのね。探求者とは、あらゆる物を探し求める者のことをいうのよ」

「冒険者のようなものかな?」


 そう問われハイエルフの女性は、首を横に振った。


「いいえ、違うわ。似てはいるけど、ね」

「そうなんですね。探求者か、気になるけど……」

「もし興味があるなら詳しく教えるけど、どうする?」


 そう言われエルは悩んだ。


(どうしよう。興味あるけど……。んー、話を聞くだけならいいかな)


 そう思いエルは探求者について詳しく教えてもらう。


「……この世界のあらゆる物を探し調べあるく、かぁ。面白そうだけど、どうしよう」

「もし迷ってるなら、今すぐ決めなくてもいいのよ」

「はい、家に戻って良く考えてきます」


 そう言いエルは店から出ようとする。


「ちょっと待って! 名前、聞いてもいいかな? 因みに私は、カルネア・ハーブル」


 そう聞かれエルは不思議に思った。


「名前、ですか……エル・ラルギエです」


 だが、名前ぐらいならいいだろうと思い教える。


「エル、かぁ。クスッ、いい名前ね」

「ありがとうございます。そろそろ家に戻らないといけないので」


 そう言うとエルは、カルネアに背を向け店の外に出た。

 それを確認するとカルネアは、ジーッと店の扉をみる。


「エルか。……本当は、家に戻らない方がいいんだけどなぁ」


 そう言いカルネアは、店の奥の部屋へと入っていった。

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