第11話夏休み

佐々木悠と松尾ひなたは文理クラスの高校2年生。文理クラスの偏差値は平均65。 クラスの誰もが、大学進学を目指すクラスである。だから、夏休みも補習という名の、授業が朝から夕方まである。夏休みと言うのは名ばかりなのである。

他のクラス大半はこの補習は自由選択制なので、登校していない。

この文理クラスの連中だけ、全員参加なのである。

どちらも文系の悠とひなたはどっこいどっこいの成績。

偏差値は70だった。70では、まだまだ足りない。だから、伸び代がある。

放課後、周りが帰り支度をしているのに、悠へとひなたはイスを窓際に移動せてから、何やら話している。


「ひなた、来週の港夏祭り日行かないか?」

ひなたは、ポッキーをハムスターみたいな食べ方をして、

「いいよ」

「僕は金魚すくいが上手いんだ。一個のポイで10匹は余裕だよ!」

「ふ〜ん。私はりんご飴食べたい」

悠は希望を打診してみた。

「ひなたは浴衣持ってる?」

「うん、夏祭りは浴衣で行くよ」

「え〜と、何カップだっけ?」 

「ジャパンカップ?」

「違う、違う、胸」

「佐々木君の変態!」

「でかいよね」 

ひなたは胸を強調する姿勢で、

「Eカップだよ」 

悠はニヤリとした。そして、その笑みは何かを企んでいるに違いない。

二人は付き合って4ヶ月経つがキスはしていない。

手は繋いでいる。

二人はみんなが帰った頃、学校の正門から離れた所から手を繋いで帰った。

握った手から、二人はお互いの手の汗を感じたが、最近は悠はオシャレに目覚め、ひなたは悠よりもずっとオシャレなので、汗さえもいい匂いがした。


時は過ぎて、港夏祭りの日。

悠は普通にジーンズとTシャツだった。妹の加奈子は浴衣で先に祭りに向かった。

それと入れ替わるように、ひなたがやって来た。

「やぁ、変態君。浴衣だよ」 

「い、いいねぇ」

「目がオッサンの目だよ」 

「うるせぇ、オレは精神年齢87よ!」

「まぁまぁ、いいから行こうよ」

「うん」

二人は夏祭りに向かった。

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