第10話土曜日の性
その日、悠は朝からソワソワしていた。明日の土曜日、ひなたを自宅に誘いチャンスがあれば交尾をしようとしているからだ。
いつものバスに乗り、通学していると車内の一番奥の座席にひなたは座っており、悠に声をかけて2人並んで座った。
「おはよう、佐々木君」
「……」
「どうしたの?」
「……」
「トイレ我慢してるの?ソワソワして」
「……ち、違う。あ、明日、ヒマ?」
「明日〜?あっ、土曜日か。暇だよ」
悠は深呼吸して、
「ぼ、僕の家で映画でも観ないかい?」
「……いいよ」
「何が見たい?」
「う〜ん、メル・ギブソンの『顔のない天使』」
「わ、わかった。借りとく」
「まさか、佐々木君、エッチな事考えていない?」
「……うっ!いや、僕は至って健全だから」
ひなたは、悠の下半身を指差して、
「佐々木君、これは何の反応?」
悠は自分のモッコリを見るとなんて、デリカシーのないの下半身だと嘆いた。
2人は手を繋いで登校した。もちろん、正門前で手を話した。
以前、生徒指導で物言いがついたからだ。
土曜日。
悠は朝早く起きて、シャワーを浴びた。下半身は特に丁寧に洗った。歯みがきは2回した。
昨夜、『顔のない天使』を借りてきて、ジュースも準備した。
念のため、普段父親が飲んでいる赤まむしドリンクを飲んだ。
父親はゴルフで、母親は仕事に行っている。
妹の加奈子は、友達と遊びに出かけた。
誰もいない家で、色んなシュチュエーションを想像した。
さて、午前10時過ぎ家のインターホンが鳴る。ひなたであった。
「おはよ、来たよ」
「さ、さっ、上がって。階段で上って一番奥が僕の部屋だから」
悠は冷蔵庫からオレンジジュースとチューペットを取り出し部屋に運んだ。
「へぇ、佐々木君の部屋、意外にキレイだね。参考書ばっなり並んでる。エロ本無いんだね」
『……あ、当たり前だ。昨夜処分したからなぁ〜』
「そ、そうかな?さっ、座って。映画でも観ようよ。借りてきた。これ」
「佐々木君、なんで、ジュースとアイスと並んで、ティッシュペーパーが準備してあるの?」
「こ、これは、映画用だよ。感動作品らしいからね」
「……ふーん」
2人は映画を見始めた。
メル・ギブソンが少年に勉強を教えている。悠は教師を目指しているので、深く感動して涙をボロボロとこぼした。
ひなたが、悠にティッシュペーパーを渡し、涙を拭いて、鼻をかんだ。
「いやぁ〜、いい映画だ。うんうん、この映画は」
「佐々木君、涙もろいんだね」
「ひなたは何で平気なの?」
「……だって、泣きながら、下半身モッコリさせてるんだもん」
悠は下を見た。
「あんれぇ〜?あっ、あいつか!」
悠は赤まむしドリンクを飲んだのを思い出した。
「ねぇ、佐々木君。ちょっと来て」
と、ひなたは悠を近くに呼んだ。
訝し気に悠が近づくと、ひなたはハンカチで悠の涙の後を拭いた。
ひなたのいい匂いに悠はクラクラした。
そして、キスをしようと2人は顔を近付けた。
ガチャッ!
いきなり部屋のドアが開き、
「ねぇ、お兄ちゃん!ごひゃく……」
2人はサッと離れた。
「ご、ごめんなさい」と加奈子は言ってドアを閉じた。
ガチャッ。
2人は顔を見合わせて、クスクスと笑った。
「エッチはこの次だね、佐々木君」
「……バレた?」
「うん、バレバレ。再来週から夏休みだけど、補習出席するでしょ?」
「うん。夏を制する者は冬を制す。って言うからね」
「ねぇ、佐々木君。膝枕してあげよっか?」
「……うん」
悠は女の子の柔らかい膝の上に頭を乗せた。
いつの間にか、悠は寝てしまった。
エッチを企て、映画を観て号泣する優しい彼氏をひなたずっと見詰めていた。
悠が目覚めると、ひなたの姿を探したがいなかった。時刻は6時過ぎ。
一階に下りると、母親と加奈子がニヤニヤしていた。
「彼女さんなら帰ったよ。あなたのような陰キャでも彼女はいるのね」
悠は、
「べ、別に彼女じゃないよ。ただの友達さ」
「お兄ちゃん、ただの友達でもキスするの?」
「……」
「悠君、あなたお父さんの赤まむしドリンク飲んだでしょ?何を考えてるの?高校生のくせに」
「他意は無いよ、夏バテしてるから飲んだだけさ」
「ふーん」
母親はニヤニヤしている。
今夜は、餃子だった。
悠は隠していた、ハウトゥー本を読み漁った。
そうか!夏祭りに誘う手があるか!しかし、次はエッチがかなり近づく。
悠は色々妄想しながら、眠ってしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます