第11話 体外魔法②
ものすごく話が逸れてしまったが、今は魔法の練習中だ。美保が顔を赤くして帰ってきたので、お腹が痛いのかと心配すると、少し怒っていたがなんでもないとのことだった。
「では次こそ本当に対外魔法について話すわよ。春人もいいわね!」
ほとんどが母さんのせいだと思うが特に否定もせず、うなづいた。
「では行くわよ! 対外魔法とはね、二人が知っているように火の魔法や水の魔法など魔法っぽい魔法よ。そんな対外魔法ですが、使うのには二つの条件があるわ。
まず一つ目は体内魔法。この魔法が使えれば、対外魔法の練習はできるわ。で、なぜ違う魔法の系統なのに必要と呼ばれているのかは、対外魔法の危険性にあるのよ。
対外魔法は魔力を放出する過程があって、その制御を失敗すると大事故になりかねないわ。だからこそ、自分の体を守る保険として必要とわけね。
もう一つは、さっきも言ったように魔力を放出する技術ね。ぶっちゃけこの才能がないと対外魔法が使えないわ。この技術はある程度努力で伸ばすことできるわ。
で、ここまではいいかしら」
「大丈夫」
俺はそう答えたが、美保に反応がなかった。
「では続けるわね。
それで体が魔法には、大まかに四つの工程があるわ。
一つ目は、魔力生成。
二つ目は、魔力放出。
三つ目は、魔法生成。
四つめは、魔法放出。
この四つの工程が全てできるようになったら対外魔法はできるようになるわ。
ここまでで何か質問はあるかしら?」
「関係あるか、分からないけどあるけどいい?」
「言ってみて」
「さっき言ったように美保にポーションについて教えてもらった時に、魔素っていうのを聞いたんだけどそれって魔力のこと?」
「いい質問ね!ちょうど説明しようと思っていたところよ。
魔素とは魔力の元になっているものよ。一般的に魔素は液体にしか存在できなくて、人間では血液に魔素があるって分かっているわ」
「じゃあ、魔力量と魔素の量は別物として考えていいの?」
「それがね、違うのよ〜
実は魔素の量を表す言葉が魔力量なのよ」
「え、なんで魔素量って言わないの?」
「そこら辺は歴史のうやむやでこうなったのよ。でも実際のところ、あまり変わらないのよ」
「じゃあ魔力の量ってあるの?」
「これもねややこしいことに魔力は自分の体の中に貯められないから、魔力出力っていうふうに考えるならばあるわ」
「ややこしいね」
「そうよね。でも最近はこの名前を変えようとしているから、そのうちちゃんと理にかなった名前になりそうよ」
「早速、魔力生成してみようか!」
「では、魔力生成しちゃって」
そう言われ、俺は魔力を生成し始めた。
魔力の生成の仕方はとてもシンプルで、魔力操作(本当は魔素の操作)で魔素を集めるだけで魔力となるらしい。
こんな感じなら、昔の人も魔素なんて分からないだろう。
そして集まった魔力を放出するのだが、このままではなんの属性を持たない無属性魔力のままだ。もちろん無属性魔力が悪いわけではないが、放出する前に属性をつけることができる。火や水、ロマン溢れる雷などその人に適した属性をつけることができる。ただし属性をつけた時点で、その魔力は体内に留めると危険なので、すぐに放出する必要がある。
ちなみに無属性魔力はその危険がないため、その魔力は身体魔法などに使える。そのため体内魔法は厳密にいうと無属性魔法だが、分類する必要がないので種類分けされてない。
「魔力生成終わったよ」
そういうと少し遅れて美保も、
「私も終わりました」
「美保ちゃんはともかく、春人も早いわね」
「昔から、魔力操作だけは得意だったからね。問題は次だよ」
「そうね。でもやってみましょ。
じゃあ次、魔力放出やってみましょう」
そうして魔力生成が終わり、「このままでもいいんだけど〜」と思っていたが、予想よりも早くきてしまった。
そう、俺にとって苦手、いや絶望にも近いトラウマがある魔力放出という練習に移ってしまった。
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作者から
今回の魔力操作なのに実際には魔素を操作している描写(これを旧解釈とします)は、20話まで続きます。作中でも間違っていると述べられ混乱してしまいますが、主人公がまだ(旧解釈)使っているのでこのままにしました。
20話からは、主人公が作中でも述べたように言葉を変える(これを新解釈とします)使おうとする機会が訪れ、それ以降は新解釈で話を進めます。
ややこしいですが現実で言う、電流と電子の流れは逆みたいな物です。
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