第5話 喧嘩①
いつものように学校に来てから朝のホームルームまでの時間に昨日の話をしようと教室に入った。
「山口、おはよ」
「おお、おはよう。君から挨拶するなんて珍しいな」
「そう? でも、そんなことよりさ。
米軍基地で未確認生物が発見されたって知ってる?」
「いや、知らないな。今日帰ったら調べてみ……」
山口がそう言い切る前に、俺たちに近づくものがいた。
「ちょっといいかな?」
若干怒ったような、悲しいような感じできたのは
「何?」
「いや、こないだ放課後偶然見たんだけどさ。春人君、七条さんと一緒にいなかった?」
そういう時クラス中がざわめきだし、
「え、あの二人付き合ってるの?」
「え、私のみーちゃんをとったの? 私の許可取らずに?」
「うっそだろ。幼なじみがそんなにいいのか? ただ小さい時、運がよかっただけだろぉぉ〜」
とちょっとしたパニックになっていた。
そんな周りに戸惑っていると、
「で、実際のところどうなのかな?」
と圧縮面接並みに(実際は知らんけど)詰めてくる。
「そんな関係じゃないし、そもそも美保は俺の母さんの魔法の先生で、俺はその魔法の練習をしていただけだよ」
とクラスのみんなに声をあげて言った。
「なら二人は付き合ってないってこと? 本当?」
「本当だって! てか、俺あいつのことあまり好きじゃないし」
「え、なんで?」
とちょっとよく分かんないことを言い出す神木君に俺は声高々に言い出した。
「なんでって……そりゃ、あいつはいつも俺に煽ってくるくせに、他の人には猫被って、調子乗っているし、極め付けは俺が中学に入ってから、特に何もしてないのに、嫌いとかほざきやがって、意味わかんないわ!」
言っているうちに、イライラしてきて神木君に鬱憤を晴らすようにしゃべっていた。
すると小声で、
「そ、そうなんだ、ごめんね疑うようなことして。でも、七条さんもいいところいっぱいあるよ」
「はあ? あいつのいいところだって、確かにあるだろうけど、それを上回ることやってるから! 神木君、騙されるなよ!」
と言いたいことを言えてスッキリしていると、突然後頭部に衝撃が走って俺は机に鼻をぶつけて鼻血を出した。
振り返ると美保がいて、泣き出しそうになりながら、震えた声で喋り出した。
「なんでそんなこと言うの?私は春人のこ……」
「いやいや、俺の今の状況を見てみろよ。十分な理由があると思うけど。てかなんで分からないの? 自分が嫌いって言った相手が自分のこと嫌いじゃないとでも思ってるの?」
「私、本当は春人のこと嫌いじゃないよ!」
「はあ、意味わかんね。はいはい、そうですか。お前がどう思ってっか知らんけど俺はお前が嫌いだ! 山口、神木君、ごめん話の途中だけど保健室行ってくるわ」
そう言って、保健室に行こうと教室から出ると、誰かさんが泣いてる声が聞こえた。
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