第4話 体内魔法と体外魔法②

「じゃあ、魔法の種類、系統を教えてもらえるかしら」


 と言われ、俺は苦い顔をしながら答えた。


「魔法には大きく二つの系統があって、身体強化、視力強化などの体内魔法と火や水などを生成する対外魔法などに分かれていて、そこから対外魔法は火、水、土、風などの種類に分かれているって話?」


「うん、その通りね。対外魔法にはもっと種類があるけど基本属性はそれでいいわ。でもなんでそんな嫌そうにするわけ?」


「はあ」


 ため息つくのにも理由がある。


 だってこの本が俺に才能がないっていうのを、分かりやすく教えてくれたからだ。


 この世界で魔法使いというと、対外魔法を使うものを指していて、体内魔法は比較的みんな使えるらしい。


 てかそもそも対外魔法を使うは練習するのに生身では危険すぎるため、魔法使いは自然と体内魔法を極めていることになる。


「なんでため息なんかつくのよ」


「いやだって、俺には対外魔法の才能がないじゃん」


 魔法の練習は小さい頃からしていて、4年生頃には他の子よりも体内魔法は得意で、対外魔法を使ってもいいレベルまでになった。


 けど、俺はいつになっても対外魔法ができなく、周りにどんどん抜かされていった。


 そんなことを思い出して、俺は憂鬱になった。


「確かにね。でもその本を使えば、自分のどこが弱いのかがわかるはずよ」


「でも……」


「でもじゃない!ここであなたが諦めたら、最強の魔法使いの未来を終わらせてしまうことになるわ」


「俺が最強の魔法使い?」


 俺はいきなり最強とか言われて、本当にわからず唖然としてしまった。


「春人の体内魔法は、魔法使いの中でも今の時点でトップレベルだわ。この年でこれだけできるんだから、もし対外魔法になんか目覚めたら日本どころが、の魔法使いになれるわ」


 母さんの話を聞いて冷静になった俺は、流石に親バカがすぎるだろうと思っていると、


「春人は、対外魔法、ほんと対外魔法が得意だもんねw」


 と美保が誉めてるのか誉めてないのか分からないことを言ってきた。


「美保ちゃんも言っていることだし、お父さんが魔道具を開発してくれるまででもいいから対外魔法の練習してみない?」


 二人?の励ましの言葉を聞いて、燻っていた俺をみていてくれたと実感すると、すぐに気分が変わる自分に嫌にながらも、上機嫌な俺がいた。


「母さんの言う通りやってみるよ。それに出来なかったとしても、父さんの魔道具に役立つかもしれないから」


「それじゃあ明日から対外魔法の練習やるわよ。もちろん美保ちゃんも」


「「はい」」


 と最近では一番大きい声を出して返事した。








 対外魔法魔法を練習すると決めたその夜、俺は魔法に対してのモチベーションが爆発して、今までにないぐらい魔法のことをパソコンで調べ始めた。


 魔法使いには、魔法技術検定という技術があり上からS〜Gまでありその資格を持っていると魔法使いとして名乗れる。


 今の日本では魔法使いは約12万人いるとされていて、その多くはCランク以下であり、そんな中でのBランクである美保は忌々しいが凄いと思った。

 

 調べていくうちに一番驚いたのが魔法使いの就職先で、昔はその力は戦争などに利用されていたが、今は警察官、消防士、大工、大企業の専属魔法使いなど、就職には困らないほどの選択肢があり、それどころが現場に一人は欲しいと希少価値の高い人材であるとわかった。


 ただ、魔検のランクが低いほどこうはならないが、現状ではDランクの人でも就職には困らないらしい。

 

 そんな中で魔法使いの一番人気の就職先が、魔法コロシアムである。


 ここでは、魔法使い同士が戦い、魔法使いの誇りと魔法の技巧を競い合うといったもので、個人戦やチーム戦など色々とある。


 強い魔法使いにはスポンサーがついたり、スポーツのようにチームまでもがある。また魔法使いであれば誰でも出れるので、たまに研究の成果を見るために、国立魔法科学センターの職員も出たりする。


 多くのスポンサーは魔道具関係の会社で、自分たちの開発した魔道具で活躍して欲しいと、魔道具界もコロシアムによって盛り上がっている。


 一般的にはランクが高い人の方が勝つがたまに低ランクのものが下剋上を果たすなど、なかなかに盛り上がるもので、人気のテレビ番組でもある。


 もちろん俺も見たことがあり、純粋に憧れていた。

 

 そうして調べていくうちに気になる記事を見つけた。



『アメリカの米軍基地で未確認生物が発見された?』


 

 この記事はいわゆる都市伝説みたいなもので、それは米軍の実験生物など、宇宙人など、いろんな人が考察していた。


 考察の中には、[これは世界各国にも起きており、多くはこの真実を隠しているのだ。


 いずれ私たちの世界に攻め入ってくるものたちがいる] [これは侵略者たちの先兵である]など根拠のない言動を叩かれているものもいた。


 しょうもない話だが、俺はこういう系の話が好きで、明日絶対に山口と菊池に話そうと決めた。





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