第2話 魔道具
俺が無事に山口と菊池と班を組めた放課後、自分の部屋で林間学校で行く予定の施設について調べていた。
調べによると、国立魔法科学センターといい、そこは21世紀が始まると同時につくられ、魔法と科学の技術をうまく融合させる研究をしてるらしい。
世間は最初、この施設に注目してしなかったが、魔力による効率的な発電や化学物質を使った魔道具(魔法の発動を助けたりしたり、魔力を込めるだけで魔法が使えるようにする道具)などを開発し一気に魔法科学、通称魔科学が発展した。
「へ~、じゃあこの施設は俺と同い年か」
「何をしてるんだい?」
という優しげな声が聞こえた。
この声の持ち主は
父さんは科学者だが魔法が好きで、魔道具を開発している。そう、つまり国立魔法科学センターの職員である。といってもそこまで珍しいというわけでもなく、国立魔法科学センターは多くの企業と連携して開発してるので、全国に一定数いる。38歳と年齢の割には若く見えるが、紙質が悪いのか、いつも寝ぐせのようなものがついていて、いくつものトリートメントが父さんの髪に負けてきた。
ちなみに俺もトリートメントに無敗である。
俺は調べている最中、ちょうど疑問に思っていたことがあったので父さんにきくことにした。
「林間学校について調べていたんだ ちょうど父さん聞きたいことが……」
「ご飯できたよー」
「はは、母さんが呼んでるようだしご飯中でもいいかな?」
「わかった」
といい俺は一階に降りた。
一階に下りた俺はそのままダイニングにむかった。
「今日もおいしそうだね」
と父さんが言った。
「ありがとう、うれしいわ」
と嬉しそうに答えたのが俺の母親である
母さんは父さんと同じく国立魔法科学センターの研究所で働いており、魔法がすごく得意で魔法検定(通称:魔検)はBランクとなっている。勝気な性格していて、幼馴染の美保の魔法の先生であり、ランクが追い付かれて少し焦っている。また、父さんよりも一つ年上だが、父さんと同じく若々しく身長も女性の割には大きい。
(ふつうは逆だけど)母さんはすごく俺に似ていて、おれが長髪のかつらをかぶればほとんど見分けがつかないほどである。
俺にとっては父さんのほうが優しく母さんのほうが怖いのだが、母さんはなぜか父さんには強く出ずにいて父さんを支えている。
そんな母さんを分かってか父さんはいつも母さんに感謝を伝えている。
「それで聞きたいことって何かな?」
「えっと、林間学校で国立魔法科学センターに行くんだけど、なんで中学生なんかが見学できるのかな…と思って」
そう国立魔法科学センターは簡単には見学ができないのだ。
日本の魔科学の中心地であるので外国に技術が簡単に流出しないように基本的には見学どころが敷地に入ることもできないのだ。
「そんなこと気にしてどうすんのよ いけるんだから喜びなさいよ」
「それが母さん達でも入れないところも案内してくれるっぽいんだよね」
「嘘おっしゃい、そんなわけないじゃない」
「ちょっと待ってて」
そういって俺は自分の部屋にある林間学校のしおりをもってきて二人に見せた。
「本当なのね……」
母さんは驚いた様子でしおりを見てそう言った。
するとずっと黙っていた父さんが口を開いた。
「確か春人のクラスには
「ああ、
「たぶんその子だろう、その子がいるから国立魔法科学センターのより深くまで案内してくれるのだろう」
「なに、じゃあ身内びいきってわけ? そんなのだめじゃない!」
「まあまあ、そのおかげで春人に貴重な体験させることができるんだから」
「それもそうね」
「俺は別にいいけどね」
「まだそんなこと言ってるの? 美保ちゃんはもうBランク魔法使いになってるのに」
「俺には才能がないから」
と鼻で笑うように言った。
「確かに美保ちゃんほどできるかっていうとそうでもないけど、せっかく父さんがいるから魔道具でも使ってみればいいじゃない?」
「俺もそう思って、練習してるけど全然できないんだよね」
「父さんもそれについて考えているんだけどなかなかうまくいかくてね……」
「そ、そうなのね」
「でも安心してほしい世界には春人のような魔法体質を持つ人が少なからずいるんだ だからそんな人たちのための魔道具を開発することになったんだ。」
「本当? 本当なの父さん!」
俺はこの話を聞いて一気にテンションが上がった。
「よかったじゃない春人。さすがあなたね」
「父さんもずっと気になっていたからね、神木所長にしつこく頼んだおかげだね。ちなみに自慢だけど父さんはその開発の主任になったんだ!」
「父さんありがとう」
俺は父さんの言葉で何か先が開けたような気が……いや、そう考えれるような気がした。
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