合作

あべせい

合作



 ひと組の夫婦。マンションのリビングで、離婚を前に激しく言い争っている。

 妻のツルが吠えるように話す。

「なにサッ! あの発明は私のものに決まっているじゃない。年間60万円の収入があるンよ。あんた、何した? 色塗った? 削った?」

 夫の雁児(がんじ)、負けていない。

「おれはいつもアイデアを出しているだろう。そのアイデアがいいから、発明品も当たるンだ。台所で使うあの包丁研ぎだって、おれが研ぎ器に磁石を付ければ、包丁が研ぎ器にぴったりくっついて離れない、包丁を研ぐのに便利だ、と言ったから、あれだけ売れたンだろうが!」

「あの磁力の加減が難しいンよ。強過ぎると、包丁にくっつき過ぎて研げないし、弱過ぎると包丁の研ぎカスを集めるだけで役に立たない。試作品を作るのに、どれだけ苦労したか、あんたにはわからないンよ!」

「わかった。じゃ、あの包丁研ぎ器は、この先、売上げの6割をおまえにやる。おれは4割で……」

「ナニ言ってンよ。わたしが7分であんたが3分に決まっているでしょうが!」

「ナナサン、か。うーん、きついィー……が、まァ、いいか。じゃ、次だ。去年、発明した『自在ハンガー』だ。あれはいま、売れに売れている。ふだんは棒状になっているが、竿に引っ掛ける耳状の部分を押せば、たちどころにハンガーの形になる、という優れものだ。あのアイデアはだれにも負けない。あれこそ、アイデアの勝利というものだ」

「あれは、素材選びに苦労したンよ。弾力のある素材を探したけれど、丈夫なものにしようとすると、それだけ値段が高くなる。でも、ハンガーだから、いくら高くても売価は3本100円くらいに押さえたい。考えに考え抜いたから、いま売れているンじゃないの」

「で、おまえの取り分は、いくらだ?」

「やっぱり7分よ」

「バカッタレが! 何をいいやがる。おれが7分だ」

「じゃ、わたしが6分で、あんたが4分」

「いや、おれが6分で、おまえが4分」

「わかった。じゃ、5分5分でいいよ」

 雁児、妻が気弱になったことに気がつかない。

「ヨシ、決まりだ。あとは、1年で売上げ10万円以下の小物だかりだ。さっさと決めていこう」

 雁児とツルは、「離婚協議書」とタイトルがつけられたA4の紙を前に、額を突き合せて書き込んでいく。

 協議書の中ほどに、「共同発明品の利益配分の取り決め」という項目があり、その下に発明品が発明年月日順に並んでいて、それぞれにツルと雁児の取り分が、%で次々に記されていく。

「よし、これで終わった! あとは離婚用紙を役所に出すだけだ」

「あなた、ずいぶん急いでいるのね」

 雁児、とぼけて、

「いや、そんなことはない」

「私たち、2人でもう発明はしないの? 例えば、いまのわたしたちのように離婚の危機に陥っている夫婦を救う発明品なンか、いいと思うンだけれど……」

「おまえが発明のアイデアを出すのか。夫婦を離婚の危機から救う発明品、ってか。そういうアイデアは現実性に乏しいから、実現しないな。出来もしない発明品は、いくらアイデアを出してもムダ、ってもンだ」

「あなた、最近、いいアイデアが出て来ないじゃない。だから、2人の役割を変えたら、どうかって……」

 ツルの言葉に、雁児、昔を振り返る。

「アイデアを出すのはおれ。おまえはそれに肉付けして商品にする。それが結婚したときからの決まりだ。しかし……」

「しかし?」

「もう、25年になるのか……」

「まだ、25年よ」

「25年もたてば、お互い、恥ずかしいところ、情けないところ、充分、見せ合ったはずだ。もういいだろう」

「約束を反故にする、っていうの」

 雁児、ふと顔をあげ妻を見つめ、ハッとなる。

 ことし48才になる妻が、ふだんにもまして魅力的に見えるのだ……。

「そういうわけじゃないが、おれにもいろいろ都合があって……」

「あの女、未沙都(みさと)といったわね。彼女と発明の仕事をするつもりなの?」

 雁児、ドキリとして、

「なんでそう思うンだ」

「彼女とは区の発明クラブでいつも顔を合わせているけど、最近、やたらと機嫌がいいの。私が不機嫌になっていくのと、逆だもの」

 雁児、説明に窮する。

「誤解しないで欲しいが、こんど、未沙都と会社を起こすンだ。発明品を企画販売する会社……」

 ツル、キッと怒りがこみ上げる。が、グッと堪えて、

「私たちも一度そんなこと、話し合ったことがあったわね。あれ、なんでダメになったのかしら?」

 雁児、押し黙る。

「そうそう。あなたが若い女の子を従業員に、って連れて来たンだった。私より、ふた回りも若い、ボインちゃん。それが、未沙都だったわ。私は、一目見て猛反対した。でも、こっそり続いていたのね」

「もうやめよう、その話は。おれがこの話をしたのは……」

 ツル、心得たという風に、

「私に参加しないか、ってでしょう?」

 雁児、先を越されて、

「まァ、そうだ」

 ツル、カチンとくる。

「私に、あの未沙都に頭を下げろ、って! あんた、あの女に言われて私を誘ってンでしょッ」

「そッ、そんなンじゃない。おれは、おまえの発明の才能を遊ばせておくのは勿体ないと思って……」

「あんた、いつからそんな腑抜けになったの。自分の娘のような年の女のいいなりになって。恥ずかしくないの! 私はいくら落ちぶれても、あんな女にヘコヘコするつもりなンか、これっぽっちもないからッ。バカするンじゃないよ!」

 ツル、机の上にある濡れ布巾を掴み、雁児の頭に叩きつけようとして、ふと、壁の絵が目にとまる。

「あなた、あの絵……」

 雁児、後ろの壁をチラッと振り返る。

「あン?」

「財産分割は、すべて半分半分でしょ?」

 雁児、つまらなそうに、

「そうだが、どうした?……」

「このマンションは賃貸、私たちに不動産は何もない。預貯金はすべて半分にしたし、発明品の売上げの取り分も決めた。あとは……」

 雁児、矛先を変え、

「娘のミササもいるぞ。あれはおれの娘だ」

「なに言ってンの」

「ミササはもう大学も卒業して社会人よ。どっちの親につくかは、ミササ次第よ。当然、あんたの負けだけどね」

「ミササに恋人はいるのか」

「電話でもかけて、あの子に聞いてみたら」

「そうだな。そうする。悪いムシがつくと困るからな」

「ついでに、私たちが離婚することも言いなさいよ」

「あいつが何と言うか、心配だが……」

 ツル、我に返る。

「話を元に戻してよ。不動産はない。預貯金はすべて半分にした、発明品の売上げの取り分も決めた。あとはこの部屋にある家具調度類の分割だけど、わたし、あの絵は欲しいな……」

 雁児、首を反らせて後ろの壁の絵を見る。

「あの絵は、香港で買った土産だろ。値打ちなンか、ないぞ。それより、ソファとか茶箪笥を持っていけば、いいじゃないか」

「あなた、あの絵が欲しいの?」

「そういうわけじゃないが……」

 ツル、目を逸らした雁児をずるそうに見る。

「わたし、あの絵が好きなの。水平線に沈む真っ赤な夕日をバックに、桟橋に繋がれている香港名物のジャンクが描かれているでしょう。ペーソスとロマンが一緒になって、迫ってくるの」

「おまえ、よく考えてみろ。大陸の東海岸にある香港で、水平線に沈む夕日なンか、よほど沖に出ない限り見えやしない。まして、この絵のジャンクは湾内にある。だから、この絵は全くのウソ。頭で想像した景色を絵にしている。値打ちなンか、ありゃしない」

「だから、いいンじゃないの。実際にはありえない景色を描く。絵にしかできないことよ」

 雁児、決然として、

「わかった。だったら、もっていけばいい」

 雁児、立ちあがり、壁から香港土産の絵を外して座卓の上に置く。さらに、額縁を裏返し、トンボをいじり、絵を額縁から外す。

 ツル、それを見て、

「あなた、何してンの」

「絵が欲しいンだろ。ほら」

 雁児、額縁から外したキャンパス地の絵を、ツルの前に置く。

「待って。あなた、絵だけもらってどうするの。絵は額縁に入ってなきゃ……」

「この額縁はダメだ!」

 ツル、怪しむ。

「どうしてよ?」

「この額縁は、発明品だ」

「そうよ。それくらい覚えているわ。余り売れていないけれど、裏板を外さなくても、リトグラフや写真なら、上から額縁のスリットにスライドさせて入れることが出来る便利グッズよ」

「おれの渾身のアイデアだ。特許庁に出すのにおれが自分で作った試作品だから、思い入れが強い。これだけは譲れない」

「そんなに大切な額縁か……だったら、いらない……」

 と言って、雁児の頭越しに額縁を放り投げた。

「なにをするッ!」

 雁児、頭上を、円弧を描いて飛んでいく額縁に手を伸ばすが、額縁は雁児の手をそれて雁児の後ろの床に、ガチャン。

「アッ! おまえ、なンてことをするンだ……」

 雁児、立ちあがって、駆け寄ろうとする。

「待ちなさい!」

 ツルが一声、発する。

 雁児の動きがピタッと止まる。

「バレてンのよ。見なさい!」

 額縁の4辺がバラバラになり、直径2センチ、長さ15センチほどの黄金色の金属棒が4本、転がり出る。

 雁児、うな垂れている。

「額縁が厚いからおかしいと思ったのよ。5センチはあるでしょうよ」

 ツル、してやったりという顔で続ける。

「額縁の一辺を横にスライスして中に空洞を作り、上の蓋を外せば、中に大事な物が収納できるようにしてある」

 雁児、ぼそりと、

「おれの最新の発明品だ」

「『ヘソクリ額縁』と名付けたら。縦の2辺に金の延べ棒を4本も隠して。横の2辺は空だったから、まだこの先ため込むつもりだったのね。お生憎さま」

 雁児、悔しそうに、

「なんで、わかった! 掃除のときでも、はたきを掛けずに、そォッとして置いたのに……」

「それがまずかったの。ほこりがたまっていたから、壁から外して雑巾で拭こうとしたら、木枠の額縁にしては重過ぎる。どうして? って、なるじゃない」

「すぐバレるようじゃ、へそくりには使えないか」

「そういうこと。あなたのアイデアは、その程度ってことね」

 雁児、悲しそうな表情で、

「おまえ、いま金の延べ棒、って言ったが、よく見てみろ」

「エッ!?」

 ツル、金属棒を手にとる。

「その2本をこすり合わせてみろ」

 ツル、互いにしごくように2本の金属棒をこすり合わせる。

「あら、はげる!」

 金属棒の表面の黄金色が剥がれて、下の鉄が剥き出しになった。

 雁児、諭すように、

「それは金の延べ棒のレプリカ、見本だ。こんな風に、金の延べ棒も隠しておけるという売りだ。元々は、5百円コインを入れる貯金箱のつもりで作ったンだ」

 ツル、感心して、

「へェー、額縁貯金箱なの……金の延べ棒にしては軽いものね」

 雁児、額縁を元のように組みたてながら、

「どうする? 持っていくか」

「いいわ。あなたの発明品なンだから。でも、余り売れるとは思えないけど。私は、この絵だけで我慢する」

「そうか」

 雁児、元通りに組みあがった額縁を風呂敷に包み、体のそばに置くと、

「家具と調度は、それぞれの思い出が詰まっているから、業者に出して、その金を等分に分けるのがいいと思うが、どうだ?」

「そうね。そうしましょう」

 ツル、優しい笑顔でうなずいた。


 ある一室。

 雁児、床に胡座をかいて額縁をいじりながら、

「やっと終わった。オーイ、そんなことは後でいいから、早くこい」

「はーい、待って」

 未沙都がコーヒーカップをトレイに載せて現れ、雁児にくっつくようにして座る。

「うまくいったの?」

「これだ」

 雁児、分解した額縁から4本の金属棒を取りだす。

「この黄金色の棒をよく見てみろ」

 未沙都、一つを手に取り、

「軽い。プラスティックなの?」

「そうじゃない。この棒の両端は切断したように見えるが……」

 雁児、ドライバーで棒の片方の端をこじりがら、

「硬質ゴムを詰め込み栓がしてある。これを取り外すと……」

「何か入っている」

 雁児、中から、丸めた紙の束を引き抜く。

「この1本に万札が50枚、丸めて詰め込んである、ってわけだ……」

 雁児、丸まった紙束を広げる。

「アッ!」

 未沙都、顔色が変わり、

「なに、それ、新聞紙じゃない!」

 雁児、ほかの3本も栓をこじあけ、中を確かめる。

「ない、ない、ナイ。こんなはずは、ナイ……」

 雁児、呆然となり、空をにらんで考え込む。

「そのいちばん上の新聞紙に、何か、書いてあるわ」

 万札の大きさにカットされた1枚の新聞紙にサインペンで書いてある。

 未沙都、それを手に取り、かざしながら読む。

「『ここに隠せば、いいのね、ホントによくできているヘソクリ額縁。あなたは天才よ』だって」

 雁児、肩を落として、

「あいつだ」

 未沙都の顔がみるみる、変わる

「あなた、ハワイ旅行だって、言ったわね!」

 雁児、うらめしそうに未沙都を見る。

「パチンコや競馬で稼いだお金をコツコツ貯めたと言ったわね。それがこの始末!」

 未沙都、雁児を力一杯叩いて、

「バカバカバカバカバカバカッ、バカーッ!……」

 未沙都、キッと顔を引き締め、

「やーめた。こんな遊び。もう、あなたとは手を切る」

「未沙都、おまえ、おれのことが好きじゃなかったのか」

「ナニばかなこと言ってンの。20も余計に年を食ったジイさんと、なんで若い体のこの私が一緒にならないといけないの。みんな、お金でしょ! あなたなんか、タダの付録。いらないの! バァーカッ」

 アカンベェーしてみせた。


 その頃。

 ツルはリビングで、家具調度を買い取りに来た業者の青年に指図している。

「あなた、若いわね。いくつ?」

「25です」

「奥さんは、いるの?」

 青年、ツルをじっと見つめて、

「まだです。でも、約束した女性はいます……」

「でも、結婚は勧められないわ。きっと失敗する。わたしがいい例だもの」

「どういうことですか。私は、不要品の買い取りに来ただけです」

「そうよね。でも、わたしも不要品になったの。哀しい話だけれど……」

 青年、真剣な表情で、

「奥さん。男性は不要品になることはありますが、女性は不要品にはなりません。死んだお袋がよく言っていました。男は一度落ちるとダメだけれど、女はツブシが効く、って。どんなことをしてでも、生きていく力がある、って。奥さんもそうでしょう?」

「あなたのお母さまは強かったのね。わたしはダメ。連れ合いがいないと何もできない。いま初めてわかった。それなのに、離婚なンか切り出して……」

 離婚用紙を手に取り、

「あとはこれを役所に出すだけだけれど……」

 青年、電卓を叩きながら、

「ご近所でお聞きしましたが、奥さんは有名な発明家なンでしょう」

「発明家なンて。ただ発明することが好きで、いつも何か便利なモノを考えているだけ」

「それでしたら、離婚の危機にある夫婦が仲直りできる機械を、発明すればいいじゃないですか」

「あなたは発明のアイデアを出したつもりでしょうけれど、そういうアイデアはダメなの。もっと、現実味のあるアイデアじゃないと、ってあのひとが言ったわ。あの人は、発明したいという意欲をかきたてる、すばらしいアイデアを出してくれたわ。いつも……」

「どうして離婚なンか、決心したンですか?」

「最初は、あのひとの浮気。でも、すぐに捨てられて戻ってくるとわかっていたから、許すつもりでいたの。それが……」

「それが?……」

「それが、あのひと、わたしに黙ってお金を溜め込んでいたの」

「いくらですか?」

「200万円」

「奥さんは内緒のお金はないンですか?」

「あるわよ、それくらい。でも、わたしの場合は、いつか2人で使うつもりで溜めている。でも、あのひとは、女に使うつもりだった……」

「200万円でキレたンですか」

「そうね。そうなるわね。あのひとは、200万円の価値しかなかった、ってこと……」

「しかし、奥さん、ご主人が頭を下げて来られたら、どうしますか?」

「そりァあぁ……」

 ツル、考えて、腕組み。

「許しますか?」

「そのときの気分次第ね。でも、あのひとは謝らない。謝るってことができない人」

 そのとき、玄関のインターホンが鳴る。

 ツル、インターホンの受話器をとって、

「もしもし、どなた?」

 インターホンから、雁児の声が、

「おれだ。話がある」

 やがて、雁児が険しい顔付きで入ってくる。

「ツル、おれの金を返せ!」

 ツル、予想した展開と違い、戸惑って、

「なんのこと?」

「おれが額縁にヘソクッていた200万円だ」

「あァ、あれね。あれは……」

 雁児、突っ立っている買い取りの青年を見ている。

「待て。あの男はなんだ」

「この部屋の家具調度を買い取りにきた人よ。あなたが寄越したンでしょう」

「いや、知らない。ただ、おれはミササに電話をかけて、おれたちは別れるって話した。ミササが手を回して寄越した業者かも知れない」

 ツル、青年に向かって、

「そうなの?」

「詳しいことはわかりませんが、若い女性から会社に依頼の電話があったと聞いています」

「彼女が手を回したの……」

 しかし、ツル、合点がいかない。

 雁児、思い出したように、

「その話はもういい。それより、額縁の200万円だ。早く、返せ!」

「あの200万は、わたしたち2人のものよ。だから、娘の結婚祝いに、とっとくの!」

 雁児の「なにィ!」に続けて、

「ホントですか!」

 言ったのは、買い取りの青年。

 ツルと雁児、思わず顔を見合わせる。

 ツル、思い当たり、

「あなた、ひょっとして……」

 青年、緊張して、

「はい。この秋、ミササさんと結婚するつもりです」

 雁児、不機嫌になった。

「キミはここに、何しに来たンだ」

「もちろん、ご両親を仲直りさせるためです。ミササさんから、なんとか2人をなだめて、元通りになるようにして欲しいと頼まれました。ぼく、司法修習生で、これからの仕事の経験になると思って、買い取り業者のマネをしてうかがいました」

 雁児、ガックリ。

「娘が頼ンだのか……」

「ミササさんはおっしゃっています。『うちの両親は、2人で発明をしている。父がアイデアを出して、母がそれを具体化する。いわば、発明の合作夫婦。でも、2人がいちばんうまく出来た合作は、娘のわたし』だって。ぼくも、そう思います。すばらしいミササさんを作ってくださったお2人に感謝いたします」

 深々と一礼する。

 ツル、顔を赤らめる。

「急にそんなことをいわれても、ねえ、あなた」

 雁児に救いを求める。

 雁児、悟ったように、

「そうか。夫婦を離婚の危機から救う発明品は、ずっと昔に完成していた」

                 (了)

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合作 あべせい @abesei

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