05 土が万能素材すぎる

 翌日。


 久々にまともにきちんとしたベッドで寝て、しっかり休めた感じはあるけど、また朝飯は焼き魚か。と、気分は上がらない。


 別に不味くは無いんだ。むしろほどほどに脂も乗ってて美味しい。


 ただ、ずっとこれは飽きる。それにこれしかないのは健康上不味いだろう。


 しかも、全部同じ種類の魚に見える。栄養かたよりまくりだな。うん。


 確かに、前世の俺よりかはガタイも身長も大きいから、そう簡単に体調を崩すことはないにしても、このままじゃ船に乗ってもないのに船乗ふなのりの病にかかってしまう。


 ビタミン不足でなるというアレだ。……正式名称なんだっけ。


 いや、そう考えると調理法がどうとか言う前に、畑を先にどうにかした方がいいのか?と、少し考えた。



 考えた結果、やっぱり台所を優先することにした。


 だって、船乗りの病だって、それこそひと月とかそのぐらいの期間スパンの話であって。ほんの数日で体調を崩すほどヤワな身体じゃない。農民なめんな。


 というわけで、昨日の続きをやることにした。蛇口問題だ。


 いや、これなんだけどさ。ふと思ったんだけど。


 蛇口をそもそも太くすれば解決じゃね?


 ということで太くしました。

 水の勢いはそれほど強くない。


 解決しました。



 まぁ、得てしてブレイクスルーってのはこんなものだ。


 閃いた答えの方がシンプルってことはよくあるのだ。


 そんなわけで蛇口は完成、と。


 たくさん出るから勿体ないって? 

 実はそうでもないんだ。


 前世の俺基準で作ってたけど、今回の俺は結構体が大きいから必然的に手も大きい。試しに洗ってみたら丁度良かった。うん。こういうこともあるさ。


 つい、知識と一緒に認識まで前世に引っ張られるから、たまにこういうことがあるんだ。そりゃ今の年齢より多く前世で過ごしてるなら、そういうこともある。


 そんなわけで、蛇口問題は早々に解決してしまった。



 他に必要なものと言えば、調理器具、まぁ主に鍋だが、包丁とか食器とかもだな。


 それから、コンロがあれば便利だが……、これはちょっと事情があって保留だ。火の魔石がな。うん。


 ちょっとばかり手間がかかるのだ。いや、ちょっとじゃないが。


 気合を入れて、長い時間を取らないと作れないんだ。うん。



 そういうわけで、一番大事なところを後回しにしつつ、間取りを考えながら台所用の家具を配置して、こちゃこちゃと小物作りを片付けていく。


 ほとんど土製で、しっかり固めてツルツルにしていく。


 イメージはツルツルの泥団子だ。堅実のルカナを使って固める。 


 その後はもちろん『保存』も使う。



 まず、シンクが必要だ。


 蛇口を作るために何となく水を受ける場所は作っていたが、雑な仕事だったのでやり直す。


 なんとなく、前世の金物かなもののシンクが思い出されたので、ここはさらにツルツルのぴかぴかに仕上げておいた。清潔感も大事だしな。


 次はまな板スペース。


 まな板もカッチカチの土の板だ。包丁も土の予定なので、こっちは魔素を濃いめに込めてガッチガチにする。指で叩いても音がしないぐらい密度が高いので大丈夫だろう。


 ほとんど石みたいなぐらいにしてやった。

 お陰でちょっと重いが、置いて使うんだから問題ないはずだ。洗う時もシンクにずらせばいいしな。



 さて、では包丁を土で作ろう。

 土とはいえ刃物だから、他よりは集中して作る。


 これは切れ味を鋭くしないとならないので、包丁の形を作ったら、刃になる部分をさらに成型して、平たく鋭角になるようにしていく。


 仕上げは他と同じだ。堅実からの保存。もう土の小物のテンプレだな。


 ちなみに、保存が状態保存なら堅実いらないんじゃない?と思うかもしれないが、堅実を使わなかった場合は、ただの包丁の形の土になってしまう。


 固まってないから手触りが微妙なんだ。形は崩れないけど。


 だから、まず、固めて鋭くするために堅実を使い、その状態を維持するために保存を掛ける、という感じになる。保存はあくまで補助だな。



 そんで、食器を乾かす台。


 食器も漏れなく土製だ。茶碗、汁椀、平皿、と作って、そう言えば米は無いのか、と思い直したが、いずれ手に入るかもしれないので、茶碗はそのままにした。


 箸、フォーク、スプーンも作っておく。フォークとスプーンは来客用だ。


 もっとも、今は想定だけで実際に招くかは分からんけど。


 次はコンロ予定の台。


 これは、まだどういう形で作るか分からないので本当に台だけだ。


 忘れないように表面にコンロと書きつけて保存しておいた。


 というのも、水の魔石で実感した通りなら、火の魔石も火力が強いに違いないからだ。


 だから、当初想定した構造じゃあ上手く行かないと思っている。


 そのため、ここは完全な白紙だ。まだ何もできないので予定地というわけだ。



 で、調理器具だが。


 今は金属が使えない、というか手元に無いので保留だ。


 どういうことかというと、どうも、『保存』は熱にあまり強くないらしい。


 というのも、焼き魚を焼くための焚火に保存を掛けた木の枝を入れてみたことがあったんだが、しばらくは大丈夫でも、じきに内側に熱が通るのか、中がボロボロになってしまうのだ。


 だから、土の場合も、乾燥してボロボロになる可能性がある、ということで、料理が台無しになる可能性を考えて保留とした。



 さて、そろそろ目を背けていた火の魔石を作らないとならないが……、少し涼しくなってからがいいな。


***


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変わり種魔法でスローライフ(仮題 の屋敷の見取り図をGoogle スプレッドシートにて公開しています。

以下がそのURLです。

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※アカウント名がグミ好きではありませんが、私ですのでご安心ください。

※見ることが出来ない場合はご一報ください。

※シートによっては若干のネタバレを含みます。(施設名など)

 伏せたシートもあります。(現時点)と付いている方です。


また、近況ノートにも画像を貼っておりますので、もし何らかの都合で見ることが出来ない、という方はそちらをご覧ください。

https://kakuyomu.jp/users/gumisuki59/news/16817330661392985091

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