大きめの酒饅頭
見た目こそ違いがないようだが、種(皮の部分)の厚みや硬さは店によっても違う。もちろん、中の
中でも、岐阜県にて立ち寄った和菓子屋さんの酒饅頭は記憶に焼きついている。「人生で一番うまい酒饅頭だった!」といった理由からではない。まことに単純な理由で、大きかったからだ。
一般に饅頭と言われると、多くの人が指でつまめるぐらいのサイズを想像するのではないだろうか。シャトレーゼの饅頭がわかりやすい例かもしれない(シャトレーゼの饅頭類も、お手頃で美味しい!)。しかし、岐阜で立ち寄った店の酒饅頭は、それ以上に大きく、ほぼ肉まんサイズだった。あれを温めれば、それこそあんまんと言って差し支えなかっただろう。
「これは、特別にこのサイズで販売しているのですか?」
珍しかったのでお店の方に訊いてみるとと、
「うちは昔からそのサイズも販売をつづけていますよ」とのこと。
商品棚を見やると、通常サイズもあった。とは言え、同じ酒饅頭を大小で種類分けして販売している店も珍しいのではないだろうか。どうやら、昔から欲張りな人がその店に通っていたのだろう。
大きさに比例して、その値段ももちろん上がる。酒饅頭はおおよそ百から二百円が相場かと思うが、その大きめ酒饅頭は六百円前後であった。
価格としては高めなのかもしれなかったが、どこか面白くて値段は気にならなかった。むしろ、「買ってやったぞ」というよくわくわからない誇りのようものを感じた。
そんな気持ちも早々にすみに置き、待ちきれず店先で早速一口。普通サイズの酒饅頭なら、それで半分にはなってしまいそうなところだが、手元のそれは餡を覗かせたばかり。まだまだ余裕があった。
えも言われない満足感に鼻から息を吐き出し、もう一つ買えばよかったなんて思ってしまった……。
いやいや、わたしの欲張りもいいとこだ。
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