第10話 水の異世界セント・バルチア

僕は力を取り戻した。ゆっくりと地上へ降りた。僕のまわりに水の異世界の住人達が歓声を上げて僕の帰還を喜んでいる。群衆の中に桐ヶ丘中等部の制服が見えた。コイがいた。影が薄い。そして群衆の歓声と共にアオ率いる戦士部隊が集結する。聖なる泉の七色の噴水を浴びて僕は、僕本来の性格を取り戻した。僕の名は、レイ。水の異世界の王。蓮の花が僕の源だ。水を浄化し、水で生きる者達にエネルギーを与え続ける。この世界を守ることが僕の使命だ。しかし僕にはもう一つの姿がある。 ”サラセニアだ。“虫、カエル、ヘビ

そして”人間“をも捕獲食べ尽くす。そう、僕は王にて最強のバケモノだ。

結果のためなら手段を選ばない非情な指導者レイ王だ。多少の犠牲は、よしとする冷酷非道。この水の世界の住人達は僕のことをとても怖がっているが、慕ってくれる。矛盾が飛び交うこの世界。水の都。セント・バルチア。この世界こそが、僕の王国だ。ヘビ族、ダリアンとの戦い。ヘビ族が我々の聖なる泉を奪おうと侵略して来た。過去にも幾度かの攻撃があったがその度ごとに撃破させてきた。ダリアンに噛まれる瞬間、目の前に人間が、、、、思い出せない。

僕は右手を上げて群衆に答えた。アオの戦士部隊から銀色の髪をなびかせて1人女の子が。僕の目の前に。ブルーに深く光、瞳。”レリア“

「バッチーン」彼女は、僕の頬を平手打ち。

「痛い。」レリアが大声で「レイのバカー。今までどこに消えてたの。王様でしょう。なんで私なんかをかばったの。だからダリアンなんかに噛まれるのよ。」兵士達がレリアを抑える。僕は思い出した。僕はアオも、もちろん戦いながらダリアンの攻撃から救った。しかし、致命的な僕への打撃は、目の前でレリアがダリアンに食いちぎられそうになった瞬間だった。「レリアーーー。」僕の全身から強大なエネルギーが放出された。強大な光があたり一面を覆う。僕の光のエネルギーと共感した時空空間のタイムマシンが開く。僕はすいこまれてゆく。僕の体はグルグルゆっくり回り別の時空空間のタイムマシンへとつながりあの、僕の部屋のクローゼットの中に僕は落ちた。薄れゆく映像の中でダリアンも別時空へと飛ばされたのが見えた。時空のサプライズギフト。僕は落ちたあの世界で中1の普通の少年レンとなった。記憶は改ざんされる。そして、今僕はこの水の異世界セント・バルチアへ帰還した。愛するレリアの元へ戻って来た。しかし僕はまだ、彼女に愛しているとは伝えていない。彼女は僕の気持ちは知らない。僕の愛する人、レリア。僕に無礼な行動したレリアを拘束した兵士達に「大丈夫だ。離せ。」と命令した。「レリア、すまない。心配をかけた。」短く僕は声かけた。ミヤがレリアに寄り添った。僕は声を上げた。「バルチアの民よ。今ここに王は戻った。安心せよ。ヘビ族ダリアンからの攻撃は、王のレイ、この私が撃破させる。」「Wooーーー。」群衆の歓声が響き渡る。

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