第9話 僕は水の異世界の王

僕らは、クローゼットのタイムマシンの中に飛び込んだ。しばらくすると目が慣れてくる。「アオ、目も慣れてきた。異世界へ到着する前に話しが聞きたい。」

「そうだな。まずレイ、君は水の異世界人だ。」

「水の異世界?」「そうだ。水の異世界の王だ。」

「僕が?アオ、わるいもう少し詳しく説明してくれ。」

アメンボのミヤが「アオ、それじゃわからないよ。はじめから話してあげないと。」「そうだな。レイ、君がヘビから僕を、正しくは僕らを助けてくれたのは事実だ。しかしそれは、君の宿命だった。」「アオ、記憶が曖昧になっきた。アオのことは覚えている。アオ、何かモヤが、かかってはっきりしない。もっと詳しく教えてくれ。」「わるいレイ、そうしたいが、着いたようだ。」「えっ?もう着いたの?」僕らは水の異世界へ到着した。景色は人間界変わらない。歩いている人も人間だ。「?」「アオ、ここは、本当に水の異世界?なのか?」「そうだ。僕らは人間界とつながりが強い。みんな本来の姿とは別に人間の姿になれる。ちなみに、家に帰れば、みんな本来の姿になる。外出時、外は公共の場なので人間の姿の方が普通だ。時々、本物の人間がタイムマシンの入口から迷い混んでくることがある。長いこと気づかないまま住んでいて、亡くなった後に判明することはよくある。」「それって?」

ミヤが「私達は亡くなった時に本来の姿になるの。私で言えばアメンボ。人間は亡くなると白い骸骨に。それでわかるの。」

「人間は、この水の異世界で困ったりしないの?」

「たぶん問題ないと思うよ。そのくらい自然に溶け込んで混んでいるみたい。」アオが、いつのまにか人間の姿になっていた。「それに僕らもほら、人間の姿になって人間界に溶け込んでいるしね。昔、河童がそのままの姿で人間界で騒いでからは、

僕ら水の異世界人のあまりいいイメージがなくなった。」アメンボのミヤもいつの間にか人間の姿の変わっていた。しかも中学の制服だ。僕は「アオ、なんとなくわかったかな。それとミヤ、どうして制服なの?」「あーあ、これ人間界でもこっちの世界でもいっしょの方がなにかと都合がいいしね。」「そうなんだ。」僕の中で、なんとなくミヤのイメージが変わった。前は、文化系の物静かな色白の美人さんのイメージだったのだが、今はおしゃべりが上手な、まさに元気な女子中学生だ。たぶんこっちが本当のミヤだろう。突然、僕の頭の中にミヤの声。『レン、その通り。私は元気なミヤでーす。』僕は「そうだね。元気だね。ありがとう、ミヤ。あと、僕は頭の中に勝手に入ってこられるのは好きじゃない。面倒かもしれないけど、できれば口で会話してくれれば助かるよ。」ミヤは「レンの頼みなら。わかったわ。」僕はアオに「アオ、さっきの話だと僕がこの水の異世界の王なのか?あまり実感もないが、」ミヤが「アオ、早く泉にレンを連れて行った方がいいんじゃない?」「そうだな。レン、街の中央に奇跡の泉がある。その泉は真実を映し出す泉だ。実際には泉の聖なる水を飲むと本来の姿、形、記憶すべてが現れる。僕ら水の異世界人は皆、生まれるとすぐその泉に行くんだ。僕ら一般人もレンら王族もみんなそこへ行く。僕はもちろん、青カエルに。」ミヤが「私はもちろん、アメンボよ。」アオが「さっきも話したけど僕らは深く人間界と関わってきた。人間界に長く行き過ぎると水の異世界の記憶が無くなってします。そんな時に聖なる泉の水を飲むと記憶が戻るんだ。」

僕の記憶がか。「アオ、そこへ早くつれ。」「わかった。今向かっている途中だよ。あった。あれだ。七色に光る噴水。あそこだ。」僕らが一気に噴水まで駆け出した。泉の水は七色に光りそこから吹きあがる噴水も七色に輝いていいた。「きれいだ。」心から僕は思った。アオが僕に泉の光る水を渡した。僕は一気に飲み干した。僕の体が頭がグルグル回転し、宙を浮いた。僕の体から七色の光が眩しいほど放射される。宙に浮いた輝く僕を地上の街の人々が見つめる。「水の異世界の王様。」「レイ様。レイ王だ。」「レイ王様が帰ってきた。」地上の人々はみんな喜んでいる。泉の七色の噴水が宙を浮く僕のところまで輝きながらしぶきを上げた。次の瞬間、僕の記憶が戻った。映像が、”僕は大きなヘビと戦っていた。アオも戦っている。他にも水の異世界の戦士たちが戦っている。僕が気を許した瞬間、大きなヘビ、ヘビのダリヤンにかまれた。そのあとの記憶がない。そのあと、僕は、僕は”

「レン、思い出したか。お前はこの異世界の王様だ。この美しい水の異世界を奪おうとヘビ族のダリアン王と戦いの途中に人間界にタイムマシンでタイムトラベルしてしまったんだ。戦い中にかまれた、ちょうどその場所にタイムマシンがあったんだ。こちらの世界では宙や地面、大きな木の根元にある。レンは、かまれてそのまま人間界へ。思い出したかい、レン。」「あー、はっきりと今、思い出したよ。それにアオ、君は、王直属の戦士だ。ミヤ、君も戦士だ。それに、恩返しじゃなくて僕を連れ戻しに来たんだろう。戦うために。」「レン王、その通りです。」「アオ、今更、王なんて、呼ばなくてもいい。今まで通り、レンでいい。僕は僕の記憶もそして僕自身の力も今すべて思い出した。WOOO-----僕の全身から激しいエネルギーが放射される。よし。本気だして戦うか。アオ、ミヤ。」地上の人々から歓声が上がる。

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