第8話 青カエルと異世界へ
次の日の朝早く、アオが僕の部屋に来た。
「レン、起きろ。今日から夏休みだぞ。
むかえに来たぞ。レン、レン。」大きな声が響く。僕は昨日遅くまでゲームをしていたせいか、眠くてたまらない。アオの声は聞こえていたが、聞こえないふりをした。がアオにはバレているようで、「レン、寝たフリは、やめてくれ。時間がないんだ。急いで行くぞ。」僕は仕方なく枕をとった。「アオ、おはよう。君の声が響いて、朝から頭が痛いよ。」「それは、すまない。しかし、レン時間がないんだ。急いでくれ。」「さっきから時間がないって何を騒いでいるんだ。夏休みは今、始まったばかりだぞ。」「レン、時間がないのは、これから行く異世界だ。僕らの世界を荒らす奴がいるらしい。早くレンに捕まえて欲しいんだ。」僕の寝ぼけた頭に“異世界”っと言葉がコーラーのように、はじけた。僕は飛び起き「異世界だって?行くよ。すぐ行く。」僕は急いで着替えた。「アオ、準備はいいぞ。」アオは僕が閉めたクローゼットを開けた。「アオ、これも古いタイプのタイムマシン?」「そうだ。その通り。」アオは「前にも言ったが、この人間界にはタイムマシンの場所が至る所に点在している。カエル族の僕、ヘビ族は見つけることができる。レン、覚えている?」「もちろん覚えているよ。」アオは、机の上でピョンピョン跳ねながら「この部屋のタイムマシンは、そこだ。」
「さっき僕が着替えに使ったクローゼット?」「そうだ。」
「ピンポーン」チャイムが鳴った。「誰か来た?」朝の7:43。両親は出勤後。兄貴は、夏期講習。家には僕しかいない。仕方ないな。「アオ、今、家には僕しかいないんだ。ちょっと待ってて、玄関に行ってくる。」アオは、なぜかニヤニヤしながら、「どうぞ。」と僕に言った。僕は玄関に出た。「おはよう。三条君。」玄関に同じクラスの雨宮さんが立っていた。「雨宮さん?」同じクラスだけど、あまり話したことはなかった。黒髪で色白の文化系の女子って感じで話ずらいタイプだった。
しかし、とても聡明な正統派の美人で僕の好みだった。目の前の雨宮さん。混乱んしながらも僕は、冷静にこの状況を喜んでいた。
しかしなぜ雨宮さんが、僕の玄関にいる?なぜだ?僕は、恐る恐る「雨宮さん、おはよう。どうかしたの?」「おはよう、三条君。君に聞きたいことがあって。」「聞きたいこト?」雨宮さんは「三条君、昨日、青カエルと話していなかった?」僕は思わず「どうして?雨宮さん、見てた?」「うん。バッチリ見たよ。」僕は、あーあ、見られていたんだ。アオのバカ。アオがピョーンと僕の頭の上に乗って、「久しぶり、雨宮。いや、アメンボのミヤ。」雨宮さんが驚きもせずに頭の上の青カエルのアオと普通に会話している。えっ?「もしかして、二人とも知り合い?」アオが「そうだ。ミヤだ。僕の友達さ。」「アオ、ということは雨宮さんも異世界の住人?」「そうよ。」そう僕に答えてアオの方を見て雨宮さんは。「アオ、君は、まだレンに異世界のこと何も話していないの?時間が無いんでしょう。」「アオは、そうだ。レンに話す時間が無くて。まーあ、これからタイムマシンで異世界へ向かうところだ。ミヤ、君も来るかい?」「えー、もちろん。そのために来たのよ。三条君、いいえ、レンと呼ばせてもらうね、そういうことだからヨロシクね。」僕はミヤを家の中に入れた。「ミヤ、ここが僕の部屋だ。そして、ここがタイムマシンだ。」僕は、クローゼットを指さした。「そう、ここね。確かに、水の匂いがする。間違えない。ここね。」僕には全く水の匂いも、タイムマシンの気配さえわからない。僕は少し強い口調で「青カエルのアオ、アメンボのミヤ、君たちには、この状況を僕に説明する義務があるとは思うが。」ミヤが「そうね、突然で、何も知らなかったらびっくりするよね。ごめんなさい。三条君。でも異世界と同じでレンと呼ばせて。こっちの方がしっくりくるから。いいでしょう、レン。」僕は「いいよ。」
アオが「時間が無い説明は後だ。とりあえず、タイムマシンに乗ってくれ。レン。ミヤ。」僕らはクローゼットの中へ飛び込んだ。
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