第6話 もとの世界へ

アオが「山田が誰だか、わかったか?」僕は「あーあ、わかったよ。ヤマダ カイ。僕らの担任だった。」「そうか、コイの探し人が見つかってよかったじゃないか。」コヤマが「でも山田先生があんなにイケメンだとは思わなかったよな。雰囲気も今のイカツさも全くなくってさ。まるでマンガの主人公の王子様キャラだったよな。」ムラタも「人もあんなに変わるのか、ちょっと、こわって思ったよ。」僕は「でも、今のイカツイ先生も僕は嫌いじゃないけどな。」「そうだな。」アオがまた長い舌をペロペロ出して空を見上げて「強い雨が降るぞ。夕立だ。」次の瞬間、上空にモクモク入道雲。そしてその白の入道雲を覆い尽くすように色がグレ―に変わり雷の音が鳴りだす。光が次の瞬間「ザーッ」地面をたたくような激しい雨が降り出した。アオが「帰るぞ。急げ。」僕らはアオの後を追って空間の隙間にあるロッカーの扉の中に駆け込んだ。僕は走りながら池が気になり振り向くと水面は激しく水の固まりで叩き付けられている。”コイ、大丈夫か?”  ”雨が新鮮な空気を酸素を運んできてくれるから大丈夫。ありがとう。” ”そっか、じゃ、またな。”  僕は最後にロッカーのタイムマシンの中に飛び込んだ。アオがニヤニヤした目で「レン、コイと会話できたようだな。」「アオ、なんでわかったんだ。それは・・・今はいい。今度また話そう。」そう言ってアオは、雨でぬれた僕らにタオルを渡した。」コヤマが「タオル?なんで、アオここにタオルがあるんだ?」「まあ、いいから先に拭け。人間はぬれると風邪をひくからな。」ムラタが「クシャン。」大きなくしゃみをした。アオが、せかせるように「みんな早く拭くんだ。夏風邪は良くない。」僕はアオに「まるで、ママみたいだね。」「そうか?」コヤマが「アオ、このタイムマシンの中は?なんでも欲しいものが出せるの?僕、ココア飲みたいんだけど。」アオは「仕方ないな。もう少しで着くんだがな。」そういって何もない空間から湯気の出ているココアを取り出し、僕らに渡した。」コヤマが「サンキュー、アオ。」ムラタも僕もハモって「ありがとう、アオ。」僕らは飲みながら、帰還のタイムトラベル。ムラタが「夕立って僕は、はじめてかも。雨、激しいな。」コヤマも「そうだな、僕は1度だけあるな。群馬のサファリパークに小学生の時に行ったときにあったな。ライオンやキリンたちは嬉しそうに激しい雨にあたっていた。今でも覚えているよ。雨、痛くないのかなーって。素直に思ったよ。」僕も「小学生の時に毎年夏休みに行ってた九州のおばあちゃん家で。でも最近は夕立ないよな。東京ではあったことないかも。」アオが「最近は雨が少なくって困る。僕らカエルにとっては雨は命に直結するかな。」コヤマが「そうだな、忘れていたよ。アオ、青カエルだったな。」ムラタが「コヤマ、お前の目はおかしくなったのか?どこからどう見てもアオは、青カエルだぞ。」アオも長い舌をペロペロ出してアピールする。コヤマが「そうだったな。わるい、アオ。姿はカエルでもなぜか僕は、人間としゃべってる気になっていたよ。不思議な感覚だ。」ムラタが「コヤマ、船酔い?じゃないな、タイムマシン酔いしたのかもな。」コヤマは笑いながら「そうだな。」僕の頭の中に軽い電気が走る。僕は思い出してしまった。アオと初めて出会ったときのことを。あの時アオは、青カエルから人間へ変身。僕と同じ人間の姿になった。そしてその時、“何か?”

ニヤリと笑うアオの顔が・・・

僕は、大事なことが?くそー、今は、思い出せない。今は、いいや。

そして僕ら、もとの世界、理科室に戻った。

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