第3話 理科室とタイムマシン

僕らは教室に着いた。アオはポケット深くに潜り込んだ。終業式は授業もないため教室はゆったりした空気が流れていた。朝の全校集会の放送が流れる。僕らは体育館にクラスごとに並んでいった。仲が良い、ムラタとコヤマがニヤニヤしながら僕にからむ。「レン、見たぞ。今日、駅で桐ヶ丘中等部の女子と話していなかったか。」「いいよな。」「レン、どこで知り合ったんだ。僕らにも黙ってるとは。紹介してくれー。羨ましーい。」「もしや、レンの彼女?とか」僕は「違うよ。」

コヤマが「ほんとかあー?」「あー、ほんとだ。ちょっと事情があってな。」「事情?そっちの方が怪しいな。」ふざけながら僕らは渡り廊下を通り体育館に入った。静かな体育館、校長の話はお決まりの定型文。呪文のように聞こえてくる。校庭からのセミの鳴声が体育館に響いている。僕はの耳はセミの鳴声に傾いた。

”夏だなあー”『そうだ。夏だ。』アオが頭の中で答える。ぼくは、セミの声に、せかされたわけじゃないが、『アオ、明日絶対、おばあちゃん家に行こう。』『そうだな、しかしその前にレン、コイとの約束を忘れていないよな。』『あー、もちろんさ。今日は2時間で学校は終わる。卒業アルバムを探すには十分時間はあるぞ。』アオがぺこんとポケットから顔を出した。コヤマが「レン、カエル!」しまった。コヤマに見られた。『アオのまぬけ。』『まぬけだと?』『そうだよ、アオ、見つかったら、ややこしくなるだろう。隠れてろ。』

コヤマが「レン、ポケット」と僕にふざけて絡んでくる。ムラタも何なに?と絡んでくる。「こらーそこの1年、騒がない。後ろでたってなさい。」こわーい生活指導の米倉先生が僕らをしかる。担任の柔道顧問の山田先生が来た。「おい、お前ら静かにしろ。こっちこい。」わーあ、こわ。先生は背も高く、イカツイため、前に立たれただけでも圧で押されそう。「お前ら、ふざけないぞ。校長先生の話中だぞ。」3人声をそろえて「ごめんなさい。」僕らは、立たされ体育館後ろまで歩いた。僕は「山田先生、こんなとき、聞くのも、」「なんだ、言いてみろ。」「先生、この学校の卒業アルバムってありますか?」「アルバムか?去年のか?」「いいえ、もっと前の15年とかそのくらい前のです。少し探したいことがありまして。」「2,3年前のは、図書館。それより前は理科室の横の理科準備室のロッカーの中だ。」「先生、見たいんですが、」「いいぞ。先生も、ここの卒業生だからな。カギは職員室だ。後で来るように。お前たちもう、騒ぐなよ。少しここで立ってろ。」3人で「はい。」これでコイの探し人を探せる、道筋が見えてきた。山田先生は、前列に戻った。僕ら3人だけ。コヤマが「レン、朝の女子に、卒業アルバム、それにさっきの青カエル、何かあるな。教えろよ。友達だろう。あやしい匂いがプンプンするぞ。」ムラタも「そうだ。レン、教えてくれー。」ピョーン、アオが、ポケットから飛び出し僕の頭の上に。

コヤマとムラタが「えっー!」「お前ら、うるさいぞ。」あまりの大声に全校生徒が一斉に振り向いた。「アオ、時間を止めてくれー!早く頼む。」ピタっ。みんな、止まった。コヤマとムラタが「なんだこれ?」僕は事情を説明した。おちゃらけのコヤマは「なんだか、おもしろそう。夏ーーーって感じだ。」冷静なムラタも「そうだな。これが現実か、夢かは実感がないが、先生達も全校生徒みんな静止している。現実か?レン、現実ってことで、いいのか?そのコイの探し人、面白そうだ。僕らで絶対見つけよう。」僕らは、理科室へと向かった。

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