第33最終話生き神リンバの拙速

「リンバが余計な事をしよって! 人間の摂理を動かしては為らんぞ生き神リンバ!」


タナトスの叫びが六甲山系の山々に木霊し、それは地殻に入り込んで、活断層を揺り起こした!


数キロの断層のズレが、甚大な地震となり、神戸市以東の阪神間は、数千人の尊い命がタナトスに因って葬られた。

「しまった! こりゃあ忙しくなるわ! オイ生き神リンバ!オマエにも

役立つ時が有るかも知れんから一緒に来い!」

 言うが早いか垂直に銀河へ向かって飛び、湊川より東へ飛び立った・・・。 

「何よママ! アタシを認めてよねッ!」知らん~。遠くから聴こえていた。

呆然と一部始終を見ていた甲とアサリは、成す術も無く立ち尽くしていた。

 ハッ!と気付いたが甲の左手にはアサリの腕と胴体が巻きついて、「ねえ、連れて行ってよ・・・。」ポツリと甲に囁く・・・。

「エッ! 電車か・・・、駅、駅、駅?・・・。新開地、湊川、ながた、丸山、ひよどりごえ、ひばりヶ丘・・・。

ひばりヶ丘やな!」

「ワープや!」ハッキリと、宣言していたが、それはアサリと一緒に行動するという同義語だった。

「あそこまで登る!」アサリの眼を見た!

  指を差した向こう側には立派な私鉄が走っていた。

 言い終わって左側のアサリを見ると・・・。ウルウルとした瞳に胸が高鳴る。

なんという感情だろう、熱い物が湧き上がってくる! 

「オマエ・・・、可愛い。健気やな。」

 例え親父の愛した女でも、良いか。もう一回遣り直そう。伴侶として・・・。

「行こか・・・。」

 アサリの手を握り返し、烏原町からひばりヶ丘へ向かって歩き出した。

この世に再生出来たあさりは人として、富士額の色白の細い首、放漫な胸を形成し、括れた腰を左右に振りながら甲の温かい手を離さずしっかりと、愛するっ伴侶として、甲に従い甲の背中を観ながら一旦繋いだ手は肘を伸ばして顔を赤らめながら甲の軌跡を踏みながら・・・。(了)

  





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からすはら しおとれもん @siotoremmon

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