第18話 嗚咽

甲は亀石の甲羅の上で、俯き「お父ちゃん。」えっえっえっと、嗚咽を続けた。

 西日が左目に眩しく涙に濡れた頬を乾いた風が乾かせる・・・。

ユックリと亀石の甲羅から降りて、トボトボと歩いた。

親子で来たのに・・・、子供だけ一人ぼっちで・・・、冒頭はあんなに嬉しくて楽しかったのに・・・。

 今は悲しみが納まらなかった・・・。

夜に為ったらどうせ布団に入って父と「あの時は怖かったねえ。」と、会話をしているに違いない。と、高を括ったが、甲の想いは成熟しなかった。

アサリと父は湖畔に流れ着いて、うつ伏せに倒れていたからだ。

長い髪に藻が絡み着いていた。と、二人を発見した警官が言っていた。が、発見した時は二人だったのに女が消えて男の遺体のみだったと。

それ以降の行動や救助方法を一切覚えて無いと水難救助調書に記されていた。

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