第15話オヤジ溺れる

 不意に顔を出した女が甲親子の方を観ていた。

髪の長い人だと分かったのは上半身が上がって行き裸の臍の辺りまで留まったからだ。長い髪が濡れていて頭や首、肩、髪が胸にへばり付いて胸の凹凸が分かるくらいにピタッとへばり付いていた・・・。

肌が白かったし腰が括れていた・・。

「あのお姉ちゃん誰なの?」父に問い掛けるが黙ったまま父はニコニコと、目尻の皺は良く観る父の横顔の笑顔・・・。

 アサリを見詰めたまま、甲の問いに答えなかった。

父がチークを塗った様に頬が赤らんだ顔をしていたのは、懐かしい人にでも出会った様に瞳が潤んでいたから近所の人にでも出会ったのだと、軽い気持ちで観ていたが、水面に顔を出したアサリは甲に向かっておいでおいでと・・・、実は甲にでは無く、父に手招きを繰り返していた。

 その距離は20mも無かったが、スポットでレビューは繰り返され鮮明に甲の脳裏に繁栄されていた。

 やがてその女を目掛けてフェンスを越えた父がシャツを脱いで自ら入水し、溺れていた! 

口を大きく開け何かを叫んだ! 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る