第13話父溺れる!

甲はアサリを荼毘に伏した夜、不思議な夢を見た・・・。

幼少期に父と遊びに行った。空は抜けるような青空が広がっていた初秋の乾いた風に親子の絆は誰にも邪魔されない、そういう風に感じ取っていた6歳の亀石公園で亀石の甲羅に跨る甲は横に並んだ父と薄暗い貯水池を水面の中心を見ていた。

 不意に顔を出した女が甲親子の方を観ていた。

髪の長い人だと分かったのは上半身が上がって行き裸の臍の辺りまで留まったからだ。長い髪が濡れていて頭や首、肩、髪が胸にへばり付いて胸の凹凸が分かるくらいにピタッとへばり付いていた・・・。

肌が白かったし腰が括れていた・・。

「あのお姉ちゃん誰なの?」父に問い掛けるが黙ったまま父はニコニコと、目尻の皺は良く観る父の横顔の笑顔・・・。

 アサリを見詰めたまま、甲の問いに答えなかった。

父がチークを塗った様に頬が赤らんだ顔をしていたのは、懐かしい人にでも出会った様に瞳が潤んでいたから近所の人にでも出会ったのだと、軽い気持ちで観ていたが、水面に顔を出したアサリは甲に向かっておいでおいでと・・・、実は甲にでは無く、父に手招きを繰り返していた。

 その距離は20mも無かったが、スポットでレビューは繰り返され鮮明に甲の脳裏に繁栄されていた。

 やがてその女を目掛けてフェンスを越えた父がシャツを脱いで自ら入水し、溺れていた! 

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