第12話呼び掛け

 アサリはクルリと約180度、背後のタナトスの方へ顔を向けた。

「烏腹の水源地だよ。さあ、水に入りな!」ザワザワと、周辺の山々に木霊が反響していた。

怖しく重低音の怒鳴り声! ドバーン! 腹に響く。

 幼い甲が聴いた事のある声が、烏原の湖周辺に住む鹿や野うさぎが驚いて湖に飛び込み水没した・・・。

 声のベクトルが、アサリの顔や身体を吹き飛ばし粉々になってそのパウダーは、天高く舞い上がってゆっくりと舞い落ち、やがてアサリは元に戻った。

 秋風が吹いたせいで所々、アサリの両眼と口はピースが欠けその欠けた部位が黒い空洞に為っていた。

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