第11話覚醒・からすはら

勾配3%の貯水池までの池畔に引力の感覚は無かった。

貯水池から後退して熊笹が生息している境界から貯水池の水面までの泥濘の鬩ぎ合いは、勾配が約8%。あった。

 滑り落ち易い勾配にアサリはもう重力を感じない身体になっていて水際に佇むとその身体は幽かな残像として反映されていた・・・。 霊体の性(さが)だった。  


 アサリは見える訳が無いのに赤い水車を探していた。

生暖かい南風が時々アサリの顔を抜ける・・・。

「何処なのここ・・・。」ポツリと呟く。

 アサリはクルリと約180度、背後のタナトスの方へ顔を向けた。

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